【第268号】目標を実現する力

1.未達は環境のせいではない

 先週に続いて目標管理について触れたいと思う。先週のコラムで目標を正しく設定できている企業は少ないと指摘した。社員の納得度においても同様である。目標の難易度は、企業を取り巻く環境では決まらない。どんなに不景気な状況でも、ものは売れるし、業績を伸ばす企業はある。環境の変化に企業の内部の変化、戦略が追いついていかないからである。マーケットの分析は必要である。しかし、それは、目標の量を決定するのではなく、戦い方を決めるために必要なのである。パイが拡大している時の戦い方と、縮小している時の戦い方が違うだけである。マーケットが変化しているのに、戦い方が変わっていない企業が多いのである。景気が悪いからは目標未達の理由にはならない。

2.行動量を決めるものは

 目標を達成していくためには、少しの行動ではだめである。多くの手を考え、効果的な行動を出来うる限り実施していかなくてはならない。モチベーションが重要な所以である。そのモチベーションは確保できているか。残念ながらできていない場合が多い。やらされ感がある目標はモチベーションを持って向かっていけない。どんな“にんじん”がぶら下がっていても同様である。前年対比を使って説明すると、例え前年比95%の目標となっていても、取り組む社員が「無理だよ」と思っていたら達成できない。ましてやリーダーが「会社がやれと言うから決めたけど、できないよ」と思っていたら、95%以上にはならない。一方で、前年比110%であっても、社員が「できる」と思っていたら、リーダーが「これはいける!」と思っていたら120%も可能になる。

3.自分のゴールとする

 自分が「こうしたら達成に近づける」「あれもやってみよう」「こんなこともできる」とアイデアを出し、それを実行できれば達成の可能性は限りなく100%になる。「そんなことやっても・・・」と思っている社員には無理である。リーダーであればなおさら達成が困難になる。アプローチの仕方は無限にある。それを会社から言われたやり方、これまで通りのやり方しかやらなければ、達成できないのは当たり前なのである。ゴールは自分たちのものである。リーダーを含めて組織全体が「できる」と思えるか。日々、それに向かって仕事をすることを楽しめるか。そこが目標達成の大きな力となる。組織がその状態になった時、打ち手が数十あることに気づくだろう。