【第261号】新たな年度のスタート

1.人間の行動は慣性の法則が働く

 新年度がスタートした。組織が変わったり、働く内容が変わった人もいるだろうが、ほとんどの社員は、昨年度を同じ仕事の内容である。仕事に慣れ、こなす量が増えれば増えるほど、「慣性の法則」が働き、変革よりも継続が優先されるようになる。「慣れ」と「不慣れ」であれば、「慣れ」に軍配が上がる。気分や感情の問題だけでなく、何もしないとこれまでの延長線上の上でしか行動しなくなるのだ。「習慣化」というのは自分を守る武器にもなるが、逆に自分を甘やかし堕落させる道具にもなる。「今まで通り」「これまで通り」がいかに楽か。成長しない企業の年度方針書を見ると、すぐにわかる。数年に渡り、同じような方針を掲げているからだ。できないのではなく、“変えない”のだ。

2.何を変えるか明確か

 今年度は、何を変えるのか。トップ方針で変えることが明確になっているか。そして、そのトップ方針を受けて、部門方針は変化が打ち出せているか。個人目標は、新規性が現れているか。落とし込まれていくにつれ、従来通りになりがちである。「これまでのことですら十分にできていないのに、新しいことなんてできない」というのが本音だろう。でもそれは言い訳である。まず「これまでのこと」が本当に十分にできていないだろうか。その仕事を初めてやった時と比べて進歩していないことがあるだろうか。変えることは「まったく新しいこと」だろうか。改善、改良も変化である。変化に取り組むことが自分を楽にすることにならないだろうか。

3.自分の無限の可能性を信じる

 人間の可能性については、このコラムでも何度も指摘させていただいたことである。「自分にはできない」と“壁”を作った瞬間に可能性は閉ざされる。変えようとしていることを本気で取り組んで、継続していけば、できないことはないのである。
 先日も、ある企業の中期計画の進捗状況を確認する機会があったが、やはり「やってみたけど、こんな理由があって、計画通りには行きませんでした」というパターンが多かった。計画通りに進むプロジェクトなんてない。必ず、想定外の事が起こるし、立ちはだかる。「あーあ、やっぱり」と落ち込むのか「やっぱり起こったぞ。さあ、みんなで克服してこう」と前向きに捉えるのか、である。「失敗は諦めること」なのである。成功した人には、諦めて途中で止めるという考えがない。自分の可能性を信じて新たなことにチャレンジしていく方針にしていくことが重要である。