【第257号】社員にとってのベストな環境は

1.辞めない環境づくり

 優秀な社員が辞めていってしまう職場環境は多い。それは先日のコラムでも指摘させていただいた通りである。先日、ある美容関係の方の辞めない職場環境づくりについて、話しを聞く機会があった。少人数の職場であったが、その社長の考え方の徹底ぶりには驚いた。女性だけの職場ということもあるだろうが、まず、飲み二ケーション無しという点。最近、逆に見直されている部分もあっただけに意外であった。確かに少人数であれば必要ない部分である。また、フレキシブルな勤務時間。基本は、指名が優先。仕事がない時間、お店にいる必要はないという考えも斬新。また、資格取得には個人的なもの(個人に属するという点)であっても投資を惜しまないという姿勢。これも社員にとっては魅力的である。

2.お店の質を上げると

 この会社は、退職率が極端に低い。そして、社員募集をかけると多くの希望者が殺到する。中小零細企業からすると羨ましい状況である。しかし、こんな会社でも悩みが出てくる。当然、優秀な社員が集まる。サービスの質も高まる。お客様の層の質も高まる。すると、寿退社の比率も高まってしまうのである(お客様と結婚するケースが増える)。ここはこの会社特有の悩みなのかもしれないが、同様のリスクはサービス業であれば起こりうるかもしれない。特に個人にお客様がつく場合、あるいは個人のキャラクターが際立つ場合は発生する。販売会社の営業マンが得意先やチャネルごと独立したり転職したりするのと同じである。
 社長自身が、組織に属することを否定してきた関係、上下関係が苦手だとか、束縛されるのが嫌だという社員が多く、優秀で個性豊かな社員であることもその理由のひとつかもしれない。

3.社員の幸せとは

 このケースは、社員の幸せとは何なのかを改めて考えさせられた。資格を取得して一生懸命働こうとする人を応援する職場をつくる。そういう人たちが集い、理想の職場ができる。働いている人たちが輝き、魅力的になる。異性から好かれ、生涯のパートナーを見つける。働くことの人生における位置づけは?自分を支持してくれる多くのファン(お客様)との関係は?結婚以降のキャリア形成は?生き方の選択肢が増えれば増えるほど、これという答えが見つからないのかもしれない。
 しかし、だからこそ経営者は、会社は社員の幸せを考えていなければならないし、追求し続けなければならない。社員が幸せだからこそ、お客様を幸せにすることができるのだから。