【第251号】会社の一体感

1.規模だけの問題か

 会社の一体感が作れずに悩む経営者は多い。しかし、そのあと対策を打つ経営者は少ない。「この人数になったら仕方ない」と諦めてしまうのである。それも基準はない。50人で諦める経営者もいれば、200人で諦める経営者もいる。社員が多い、少ないの問題ではなく、社長があるいは社員が「できなくて当たり前」と思ってしまっているところに問題がある。
 社員一人ひとりの価値観は当然違うし、トップと向き合う姿勢も違う。ベクトルはなかなか揃わないのが実態である。しかし、「もうだめ」と思った瞬間から前進はない。つまり、会社のベクトルの統一や一体感を作っていくことが出来るようにはならないということになる。本当に諦めなければならないのであろうか。

2.トップの思い

 一番肝心なのは、「だめだ」と思うこと。また、忙しいを理由にしないこと。できない理由をあげる社員を避難しながら、トップ自身ができないと思ってしまっている。自分の思いをわかってくれないかもしれない。でも、自分がわかろうとすることはできるのである。「相手を変えることはできなくても、自分は変わることができる」からだ。
 トップ自身が変われると思い、そしてわかることができる、と思っているのと、できないと思っているのでは、その後の組織の一体感が大きく変わるのである。
 「経営者は時には厳しいことを言わなくてはならない」「経営者は嫌われ者でなくてはならない」それはだれが決めたのか。そんなルールは絶対ではない。“結果として”嫌われるかもしれない、相手が厳しいと感じるかもしれない。しかし、それは決められ事ではない。

3.社員の捉え方

 社員も同様である。社長の言うことはちんぷんかんぷんでよくわからない。立場が違うから仕方ない、と思っていれば、いつまで経っても変わらない。
 社長も社員も「分かり合えない」と思って話をしても、相手は“聞づらい”のである。聞くことが重要と言われるが、話し手が相手のことを苦手と思っていると、相手も聞づらいのである。だから進展しない。スタートはお互いが同じように「理解しあえる」と思うところからなのである。
 組織の中では、トップは一人だが、社員は多数。その社員が理解し合えると考えるだけで大きく変わる。「できる」と思い、実践していくことで、ギャップが減っていく。情報という血液の流れが良くなっていく。社風が風通しよくなっていくことで、更に会話が弾むようになる。組織がひとつになっていく流れが出来上がる。