【第250号】都心部と地方の格差

1.競争が生み出す力

 この年末年始、いつものように関東の実家に筆者は帰っていたのだが、いつもなら実家と今住んでいる新潟を往復するだけなのだが、今年は、東京まで足を伸ばしてみた。スカイツリーへ行き、そのあと東京の新丸ビルまで寄ったのだが、やはり人が多い。当然、飲食店にしても、雑貨店にしても競争は激しい。いろいろなサービスを生み出す力になっている。人の誘導にしても、案内にしても、接客にしてもやはり質が高い。競争相手がいるから生まれる質の高さである。
 価格面にもそれが現れる。ガソリンも首都圏で筆者が見た一番安い価格は、1リッター当たり129円であった。新潟では、まだ143円レベルである。こんなに価格差がついたのは近年記憶がない。

2.購買力格差

 人口が多いことによる「購買力」の格差も大きい。地方では“薄利多売”は難しいが、都心では可能となる。店頭に陳列されている商品の数を見ても、規模が違う。
 収益を上げていく上での一つの法則である「商品単価×数量」の捉え方が、違うのである。当然、商売のやり方が変わる。地方でも、集客が可能な場所と難しい場所では違う。新潟でも新潟駅前なら可能なやり方も、どこでも通用するものではない。
 全体のボリュームだけでなく、消費者一人ひとりの収入格差もある。都市部で働く社員の収入は基本的に高い。生産性の高い大企業が多いため、支払える賃金も高いからである(生活費もかかるため、高い賃金でないと採用できないことも事実だが)。
 統計などで、消費者の購買意欲を調査しているが、東京にいると確かに不況を感じさせないパワーを感じる。

3.人を惹きつける力

 久しぶりに1日東京に居て感じたのは、その人を惹きつける力が違うという点である。常に新しいものがある、刺激がある。新しい商業ビルができるとそのテナントの数も地方とは比べ物にならない。以前いた仙台市も今住んでいる新潟市も政令指定都市であり、人口100万人レベルである(新潟は80万人)。しかし、大きな違いは、仙台は東北6県から人を惹きつける(新潟から仕事や買い物、観光で行く人も多い)。しかし、新潟は、周囲の県から人を大量に惹きつける力が弱い。これが、都市の魅力の大きな差になっている。
 ただ、商品が多い、溢れている分、埋もれ易い。また飽きられやすい。地方では、そもそも受け入れられないものもある。地方ならでは、小規模な商売もある。ネットの使い方も、都市と地方では変わってくる。それぞれのメリットを活かした戦略の立案が必要である。