【第244号】チームワークを考える

1.チームにおける牽制作用

 以前にもチームワークについては、触れているが、ここにきてチームワームについての課題が見える企業が増えているので改めて整理したいと思う。
 チームで仕事をしていると、当然、様々な連携が必要になる。そのためには、時間的な制約が生まれてきたり、情報交換の場をどのようにセットするかが重要となる。それが、仕事の進捗や質を一定水準に保つ機能として働く。しかし、これには副作用がついて回る。何らかの理由で、進捗が遅い、あるいは情報の交換がスムーズにいかないメンバーがいると、そのメンバーが悪者になる可能性がある。チームをまとめるリーダーや事務局サイドがその理由や原因を把握するまえに、チームメンバーの前で糾弾してしまうと、問題が解決せずに悪化することがある。

2.チームにおける信頼関係

 現在、組織がうまく機能しない、チーム力が発揮できない、という企業が増えているのは、前述のような仕組みの問題が根本ではなく、その仕組みが機能するための前提条件である「信頼関係」が組織やチームの中にないことがある。一緒に仕事していればそんなものは生まれるものだ、ではない。お互いを尊重し合い、認め合うことができていないとギスギスした関係になっていく。「あいつは仕事が遅い」「仕事の質が低い」などと思いながらチームを組んで、信頼関係が築けるわけがない。お互いの粗探しが始まってしまう。そんな中で、良い仕事ができる環境は生まれてこない。リーダーが「部下たちは俺がいないと何もできない」と思っていることが多く、いい関係が築けていない。多くの管理職が陥る「管理病」にかかる。何でもかんでも管理、管理になる。

3.遠心力に気をつける

 管理病にかかった管理職は、組織の遠心力を生む。部下の気持ちが離れていくのである。「面従腹背」の状態である。みんなが上司の顔色を見て仕事をするようになる。怒られないように、機嫌を損ねないように。そして言い訳が組織に蔓延していく。
 人の心は弱い(このコラムで何度の指摘しているが)。だから、チームが必要で、周りで助け、支え合いながら仕事をしていくことが必要なのである。組織内のメンバー同士で依存しあえ、ということではない。お互いの自主性や自立を尊重し、失敗してもカバーし合う、失敗しないようにカバーし合うことなのである。人は完璧ではない。ミスを犯す。だから成長するし、その学びから次のステップが生まれる。ミスを怖がればチャレンジはできない。ミスを許容できる組織は強い。