【第246号】社員満足度をどこまで追求するか

1.無言で働いて当たり前になっていないか

 様々な企業を見ていると、その働き方もいろいろあることに気づく。それは当然、社員が自主的に働き方を選んでいる場合もあるが、会社が強制しているケースも見られる。残業や休日出勤や夜間勤務など、労働者の生活が犠牲になる場合も含めて、自主的な選択や本人の納得度も重要となる。
 これらがあまり顧みられていないと、社員の満足度は低下していく。「CSの前にES」というのはもう10年以上前から言われていることだが、なかなかこの点に注目して取り組んでいる企業は少ない。社員が生き生き働いていない企業の売上がどうしてあがるのか、と考えればわかることではあるのだが取り組めない。

2.社員の笑顔がどこまで広がっているか

 真剣に社員の気持ちを考えているのだろうか。「そんな綺麗事を言っていたら業績は良くならない」とか「甘い顔をすると付け上がるのが今の世代。厳しいことを言い続けなければならないんだ」という意見もある。しかし自分に置き換えてみて、楽しくない仕事で本当に自分の限界までチャレンジできるだろうか。あるいは自分の子供を見て、楽しいことに没頭している時(例えば遊んでいる時)と、嫌々やっている時(例えば宿題)のどちらが表情が輝いているか、一生懸命か、を見ればわかるはずである。
 社内に笑顔を溢れている会社の業績は良いし、また悪くなっても回復が早い。落ち込んでいる社員もすぐに立ち直るし、問題点の解決策もすぐに出てくる。
 問題を抱えている会社の社員は、挨拶も暗いし、笑顔もない。会社に入ってすぐに感じられる。

3.社員を大切にするということ

 社員はなかなか声をあげない。「もっと自分たちを大切にしてください」とは言えない。「休みをくれ」「給料を上げてくれ」ぐらいは言うかもしれない。しかし、「大切にして欲しい」とは言えないものである。ここが一番重要なのに言えない。社員は本当は大切にして欲しいのである。その結果、休みが増えたり、給料が上がったりする。大切にしようと思っていないのに、形式的に休みを増やしたり、給料を上げても社員は瞬間的に喜ぶかもしれないが、本質的なところではあまり嬉しくないのである。認めてくれたわけではないとわかっているからだ。
 社員を大切にしようとすると向き合い方が変わる。ミスが増える、期待値に届かない、を「能力がない」「努力が足りない」と評価するのではなく、「どこか調子が悪い」「悩みを抱えている」という捉え方になる。だから、社員の異変に気づくことができ、社員も自分を見てくれていると感じられるのである。