【第245号】誰に何を学ぶか

1.上司から学べているか

 「見習うべき先輩、上司がいません」これは、転職した人、あるいは転職予備軍の人たちからよく聞く言葉である。仕事ができる人(自分より専門知識がある人も含めて)は、組織の中には、いっぱいいるはずである。しかし、彼らは、「学ぶ人がいない」と答えるのである。これは、学ぶことがない、とイコールにならない。つまり「あの人から学びたくない」なのである。
 上司である人が、仕事を教えてあげる、と言っているのに、部下が受け入れようとしない。こんな関係が増えてきているのである。日本企業の組織が少数精鋭となり、教育の時間を割けなくなってきている。作れたとしても、優秀な人材ほど仕事が忙しく、自分の育成に時間が取れない。中途半端になってしまうことが増えてきている。

2.同僚から学べているか

 上司がなかなか時間を作れず、自己啓発できないで苦しんいるのと同様に、部下の周りの人たちも同じことになっている。時間は作るものであるが、組織で動くことが増えてくると、個人の時間は制限される。インプットの時間が取れなくなってきている。
 学習は、インプット時間だけでは足りない。アウトプットの時間をどれだけ確保できるかが重要とも言える。上司だけでなく、同僚もインプット時間が足りないだけでなく、アウトプットの時間も確保できていない。
 みんな、お互いが学習不足なのだ。これでは、魅力的なそして好奇心あふれる優秀な若者を会社に止めおくことはできない。その先にある楽しさ(仕事だけでなく、人生においても)を、アピールすることができないからである。

3.勉強友達はいるか

 勉強していても、わからないことや悩むことは多い(悩んだり、迷ったりするから勉強するのでもあるが)。そんな時に支え合う仲間がいるかどうかである。こればかりは、望んでも手に入らないこともある。しかし、自分が勉強をしようとすれば、自ずと一緒に学ぼうとする仲間が得られるものである。
 一人で勉強するのは、誘惑も多いし、余程意思が強くないと続かない。しかし、仲間と一緒であれば、諦めそうになっても、くじけそうになっても支えてくれる。励ましてくれる。仕事仲間以上に心強いものである。そして成長を本当に心から喜んでくれる。自分も仲間の成長を素直に喜べるのである。
 弊社の創業者も「遊び仲間ではなく、勉強仲間を作りなさい」と経営者に繰り返し言っていた。同じ空間で同じ空気を吸いながら、同じ内容を切磋琢磨して学ぶ。その効果は本当に高い。