【第233号】心の病の難しさ

1.管理職の抱える問題

 最近、40歳から50歳の管理職の精神的負担が増えてきているせいか、心の病の問題を抱えている社員が増えてきている。「実は・・・」と打ち明けられることも増えてきた。少数精鋭の組織が当たり前になり、成果主義が導入され、業績責任を常に問われる管理職。部下からはマネジメントに関する不満を言われ、その部下の心のケアをしなくてはいけない立場の自分たちの心が逆にやられてしまっている。
 相談できる場所も、相談する人もなく、そして相談の仕方もわからないこの層の管理職は、今まさに会社を支える層でもある。その層の疲労が蓄積してきているのが、今の中小企業の課題でもある。なかなか会社の期待に応えられない、部下の期待に応えられない、と自分を責めてしまい、仕事と責任を抱えて、その重みに潰されてしまいそうになっている。

2.仕組みだけでは救えない

 この問題は、現状の仕組みだけでは解決しない。管理職に責任を負わせないわけにはいかないし、部下の指導育成を任せないわけにもいかない。今の仕事を全うしてもらいながら、それでも精神的にタフになってもらわなければならない。ここが解決を難しくしてしまっている。
 まず、多くの場合、この40歳~50歳台の管理職とその上の層(部長、取締役クラス)の人間関係がうまくいっていない場合が多い。表面的には、問題が無さそうに見えても、価値観が合っていないので、仕事での衝突が多い。そして、多くの場合、40歳~50歳台の管理職が折れて受け入れる。課題を抱え込むことになる。部長や取締役は、任せているから、信用しているから、なのかもしれないが、自信を失いつつあるその下の層の管理職からすると重荷を背負わされて孤独感を味わうことになる。

3.全社での取り組み

 「こうあるべき」「○○すべき」という価値判断のなかで、失った自信を取り戻し、生き生きと働いていくのは難しい。責任感の強い方ほど、立ち直れなくなる。特に今のように、目標達成に自分たちもライバルも必死になっている時代は、負け組になる可能性に常に怯え、戦わなくてはならない。
 辛いのは自分たちだけでない、周りのみんなが助けてくれる、支えてくれる、という環境が会社の中に整っていることが重要になる。
 また、自分で抱え込んでしまう人は、周りを巻き込むことも弱い。助けを求めることを良しとしない、それは負けを認めることと考えてしまう。そうではなく、お互い様であり、それが同じ組織で働く価値だと捉えられるようにしていくことなのである。