【第228号】PDCAサイクルの見直し

1.なぜ機能しないのか

 PDCAのサイクルを回せ、ということは、常に言われていることである。マネジメント研修では、何回も言われているテーマでもある。しかし、なかなか実行できていない。機能しない理由はいろいろあるが、まずは、サイクルが回っている状況が理解できていないからである。計画を作って実行するまではわかる。しかし、その先がわからない。チェックはしているし、対策も打っている。なのに、成果があがらない。どこに不備があるのか、わからないからである。
 PDCAのそれぞれの中身や機能については、知識としてはわかっていても、どうすればいいのかの理解が乏しいからである。日常生活においては、PDCAのサイクルを回しても(旅行、家事、育児など)、ビジネスにおいては回せていない。

2.PとDにおける課題

 計画においては、関係者の納得を得られていない形ばかりの計画や目標設定が目立つ。「仕方ない」の言葉で済ませてしまう。作っている側も、与えられている側も、「どうして?」という疑問を解消しないまま計画・目標が決まっていく。これでは、意味がない。計画・目標に作成者の意思と魂を入れないと、部下は納得してくれない。自分の言葉で、誠意と熱意を持って部下に伝えるべきである。
 実行状況においては、プロセス管理の仕組みが重要になる。計画がスタートしてしまうと、あとは任せたまま、というケースも目立つ。人任せ。やる人はやるし、やらない人はやらない。これまで、組織力に重点を置かず、組織内の“スーパースター”の頑張りで業績をなんとか維持してきても、やはり限界が来る。組織力発揮という視点で見たとき、メンバーの実行力に問題があると、やはり成果が出ない。

3.CとAにおける課題

 実行状況のプロセス管理ができても、それをチェックして分析しないと、サイクルにならない。なぜ、うまくいかないのか、計画通りにいかないのかを検証し、うまくいく方法を検討する。うまくいかない理由を見つけ、糾弾する場ではない。反省しても、振り返りばかりではなく、どうしたらできるのかを考える前向きの場とする。
 そして計画・目標と現実のギャップの発生原因は、計画自体にあるのか、手段にあるのか、を分析し、修正点を検討する。
 個人格差があるのは当然である。計画の修正も個人ごとに違いが出てくる。個人のやるべき数字や内容が変わっても、役割が変わるわけではないし、組織としての目標が変わるわけではない。しっかりと、組織内で、変更点まで共有することが重要となる。