【第226号】自分に自信が持てない人が増えている

1.階層に関係なく自信喪失状態

 セミナーや企業研修を実施していて、最近痛感するのが、多くの参加が自信喪失の状態になっていることである。今の自分の問題点は何か、を研修の前に確認させるが、「決断できない管理職になっている」「リーダーシップが発揮できない」という項目が目立つのである。なぜ、決断できないのか、リーダーシップが発揮できのか、を聞いてみると、半数以上が「自信がないから」と回答する。ここ数年、急激に増えてきている現象である。
 これは不思議と、幹部クラスだけでなく、20代の若手においても同じ傾向が起こっている。社員全体が、自信を無くし、指示待ちになってしまっているのである。こんな状態で組織力が発揮できるはずがない。

2.なぜそうなるのか

 なぜ自信喪失社員が増加しているのであろうか。ひとつには成功体験の不足である。体験がない→自信が持てない→自立できない→他人依存→指示待ち→体験不足・・・という悪循環が生まれている。
 最初は、小さな成功体験で構わない。そこから「やればできる」という感覚を掴むことである。その感覚が次のチャレンジを生み、成功体験の積み重ねをしていけることになる。ここで、大風呂敷を広げる必要はない。成功体験が重要なのである。
 もうひとつには、自分を認められない、自己肯定ができていないことがある。「自分はどうせできない」「自分は人より劣る」という思い込みから脱却できない。比較することには意味がないのにも関わらず、である。

3.どうしたら自信が持てるのか

 簡単には、自己肯定や自己受容はできない。しかし、周りの人間がサポートすることはできる。チームや組織の中に、よく「協働の精神」と言われるものが必要だというが、実現できているところは少ない。少数精鋭の組織は、組織内の役割分担が明確になっており、他人の仕事をサポートすることが難しくなっているからだ。そうすると、仕事量の差や能力の差で、負担量に差が生まれ、サポートする必要があるのに、できない状況となる。その孤立した人間が自信を喪失していってしまう(優秀な人間が組織を去るケースである)。
 周りのサポートは、「良くやっているよ」「素晴らしいよ」「いつもありがとう」という声がけを欠かさないことである。
 本人は、「自分は十分やっている」(楽していてはだめだが、楽しんでいる分にはOK)と自分に言い聞かすことである。自己肯定できるようになると、他人への依存の気持ちが薄れ、自信が持てる環境が整ってくる。