【第213号】上司が目を向ける場所

1.他人を変えようとしていないか

 「他人は変えられない」のに、無理やり変えようと「圧力」をかける人がいる。「なんで変われないんだ!」それが人間だからである。自分から変わらないとだめなのである。つまり「気づかせる」ことなのである。「変われ」と怒鳴りつけられても、本人だって意地を張って変わらないわけではない。どう変わればいいのかわからないのである。変わり方がわからない人間に「変われ」といい続けたところで変化はない。
 気づかせるためには、いろいろと経験をさせ、失敗させなければならない。なのに、準備不足を理由にトライさせない、トライさせればすぐに結果を求め、失敗すれ徹底的に責めてしまう。そんな上司になっていないだろうか。

2.過去を責め立てていないか

 「過去は変えられない」のに、過去の出来事をしつこく問い詰める人がいる。「なんで言ったとおりにやらないんだ!」それが人間なのである。人間は弱い人間であり、またこれまでのやり方を簡単には変えられない。習慣というものである。これは両刃の刃。良い習慣ならば問題ないが、悪い習慣は手に負えない。しかし、そのやっかいを変えなくてはならないときは、これまでとはまったく違うアプローチを覚えさせ、その理由を理解させなくてはならない。
 そのような時に、過去に起こしたことを責め立てると、逆にそれを意識するがあまり、同じ間違いを何度も繰り返すことになる。違う発想に立てないのである。

3.自分と未来に目を向ける

 変えられるのは「自分と未来」なのである。その自分と未来に目を向けさせる必要がある。自分のどこを変えなくてはならないのか、それはどのように変えていけばいいのか。それは本当に変えることができるのか、出来なかったらどのように代替していけばいいのか。変化という大きなエネルギーは、なかなか本人だけでは生まれない(もし、簡単に生まれるのであれば、みんな指示しただけで簡単に変わってくれている)。どのタイミングでどのようなエネルギーをどこに注げばいいのか。それが人材育成のマネジメントである。
 未来をどうしていくのか。目の前の仕事に追われていると、中々考えることのないテーマである。行動を変えていくことが未来を変えていくこと、自分を変えていくことになる。どのように行動を変えるのかを決めていく。多少、問題あるな、難しいな、と感じても上司は、部下のやる、と決めたことのサポートをしていく必要がある。少しでも、変化の歯車が回りだしたら、しめたものである。