【第206号】変動の年に

1.会社を取り巻く環境は大きく変動

 新しい年が明けて、あちらこちらで新年の会合が開かれているが、筆者も先日、新潟市内で行われた商工会議所の新年祝賀式に参加した。1000人を超える方々が参加しての式典は、会場から参加者が溢れ、移動もままならないほどの盛況な会となった。
 参加されている方々に話しを聞くと、例年はこんなに大勢の参加者ではなかったとのこと。地方においても多少なりに、アベノミクスの影響でお金が動きだしている証拠なのかもしれない。しかし、挨拶にたった知事、市長、国会議員の方々も口々に話されていたのが、「賃上げ」である。ここにたどり着かないと最終的には景気は上向かない。しかし、このゴールは極めて遠い。
 一つには、今回の好景況の要因が、消費税導入前の駆け込みという需要の先食い面が強いということ、もうひとつが復興需要、オリンピック需要ともに地方への波及効果がまだ判断できない状況にあるということだ。

2.準備は怠りなく

 4月以降、どんな状況にあっても反動は必ずある。政府の読みも第一四半期はマイナス成長となっている。そこをどのように乗り切るか、である。
 現状、しっかりと貯金をしてそれで凌ぐ形とするのか、4月以降も勝負をかける戦い方でいくのか。重要なのは、怠りなく準備ができているか、である。
 景気の変動は読んでいるか、ライバルの動きは計算しているか、先行でしっかりと業績を予測しているか、バラ色の予測だけでなく、悲観的な予測もしているか、がポイントとなる。タナベ経営では、晴コース、曇コース、雨コースといって、3つの予測をしてもらうようにしている。雨コース(悲観的コース)でも、耐え切れるのかの見極めが重要なのである。

3.何に重点を置くか

 4月以降もしっかりと予測しておくことで、この1~3月期に何をしなければならないのかが明確になってくる。もうすでに勝負は始まっている。今年は、年末年始の休みが長かった分、通常モードに入るのが、各企業とも早い。すでに全力疾走状態のところも目にする。今月の目標達成が、3月までの流れを決めてしまうことを、勝ち組企業は知っているからである。
 目先の数字ばかりを気にしていると、積み上げておかなくてはならない利益を疎かにしたり、ライバルの動きに惑わされて、戦う場所を誤ったりする。
 またある意味、時間制限のあるときは、物量作戦も重要となる。どこに重点を置くのか、集中していくのかを曖昧にしないことも必要となる。
 環境の乱高下が激しい予測の中、自社の業績をいかに安定させることができるか試される年である。