【第146号】自分らしさを見失わない

1. 誰の意見を聞くべきか

 何か行動をすれば、その評価は必ずついて回る。褒めてくれる人がいれば、けなす人もいる。言いがかりのような批判をする人もいるし、誤解する人もいる。
 一生懸命にやっている側からすれば、雑音にも聞こえるが、無視するわけにはいかないことが多いのも事実である。であれば、誰の忠告に耳を傾けるべきか。
 そのためには、その人間が普段、どのような発言をしているのかを知っておくことである。常に“毒を吐く”ような、人の陰口や悪口、批判などをしている人なのか、人の悪口など絶対に言わない、人の痛みがわかる人なのか。当然、前者の意見より、後者の意見を聞くことがまず重要である。忠告してくれている自分のことより、周りのことを考えて指摘してくれていることが多いからである。前者のような人は、自分中心であることが多く、常に“自分基準”である。「自分が気に入らない」「自分に迷惑」などが判断基準になる。

2. ぶれない自分をつくる

 いろいろな忠告を受けても、ぶれない部分を持っていないといけない。いろいろな人生がある。それは社会的に批判されるようなこだわりで無い限り、尊重されなければならない。「家族との時間を大事にしたい」「休日はのんびりしたい」「年に1回は海外旅行したい」など、仕事以外でのこだわりもあるだろう。それはそれで大事にしたい。
 また、仕事でのこだわりもあるだろう。「お客様の意見をまず聞きたい」「利益率にはこだわりたい」「同じミスは繰り返さない」など原則としての優先事項を持っていることは多い。
 それらは、様々な忠告を受けた中でも、ぶれずにこだわりたいし、そこを原点としたい。これがぶれると人生自体を否定された気分になり、忠告を素直に受け入れられなくなる。

3. 迷ったら立ち止まる

 迷っている場合は、自分のこだわりや優先事項がぶれていることが多い。そのまま進んでもいいことはない。その場合は、立ち止まって、本当に大事にしたいものをもう一度、振り返って、確認すべきである。
 自分の強みは何なのだろうか、なぜこの仕事についたのだろうか、この仕事をやっていて感動したことは何なのだろうか、どこが評価されているのだろうか、など。そして、自分はそこから、どのくらい“ずれて”しまっているのか、を確認するのである。ずれている、つまり、できていないことの確認である。認めたくなく、辛い作業になるかもしれないが、そこからスタートしないと、見失った自分を取り戻すことはできない。