【第145号】守れるルール、守れないルール

1. 実施していく際のストレス

 ルールには様々なものがある。当然、目的があって、守らなければならないものであるから設定される。しかし、それを守ることで過度のストレスを感じる場合がある。「なぜ、こんなことをしなければならないのだろう」「なぜ、これをやったらいけないのだろう」。
 これは、それをやる目的自体を理解していないか、あるいは、納得していないかのどちらかである。目的を知らされていない場合もあるだろうし、聞いていてもそれをやる意味がわからない場合もある。
 しかし、いずれの場合も、「だからこのルールを守らなければならない」ということを納得して初めてルールは機能する。“やらされ感”の残るままでは、決して効果は出てこない。ルールが守られない理由である。

2. 何のためか、誰のためか

 このルールの目的は意外と理解されていないものである。「なぜ、こうしなければならないのですか?」という質問に、「以前からこうするのがルールだからです」という回答が多い。考えていないのである。作業をするだけのものであれば、このレベルで十分かもしれないが、仕事は違う。考えることが必要であり、目的の理解が必要となる。
 なぜ、そうしなければならないのか。組織で仕事をする以上、周りとの連携のためかもしれないし、お客様のためかもしれない。また、自分のため、というルールも存在する。
 何のために、そして誰のためのルールなのか。これをしっかりと定義し、共有化しておくことがポイントである。

3. 守れないルールを無くすために

 要するに、ルールはそのルールが生まれたときに、守られるルールか、そうでないかが決まってしまっている。目的が曖昧だったり、効果がどこまで及ぶのか不明瞭だったり、また、守るための負荷と効果が見合っていないように感じる内容だったりすると、途端にルールを守ろうとするモチベーションが落ちる。
 ルールを決める際に、その効果と負荷のバランスをしっかりと見ることが重要である。目的を達成するために、どうすれば一番負荷なく、達成できるか。メンバーの協力を得られるか。それは周囲への配慮であり、気づきでもある。それができないと、ルール自体が「独りよがり」になり、守れないルールとなる(ある意味、上司の指示とも言える)。
 せっかくみんなで決めて、みんなで守ろうとするルールである。守れないルールを無くし、チームが一丸となって目標に邁進できる状況を作りだしていってほしい。