【第142号】言行一致

1. 意外と自分に甘い

 管理職として部下に言っていることと、自分がやっていることを一致させることは当然のことだが、これが意外とできていない。部下に言っていることだけでなく、第三者(取引先や同僚なども)に対して言っていることも同様である。
 「部下を怒鳴り散らしてはいけない」と言っているのに、普段怒鳴ってしまっている管理職。「お客様の前で機嫌の悪さを顔や態度に出してはいけない」と言いつつ、自分の喜怒哀楽はノーコントロールの管理職もいる。
 人の振り見てわが振り直せ、ではないが、上になればなるほど、行動は注意しなければならない。注目度が違うし、見られているのである。それは行動だけでなく、言葉として発しているもの、文書として発しているもの、身だしなみ、所持品含めて全てである。

2. 部下を白けさせるな

 自分に甘く、人(部下)に厳しいと、部下は白けてしまう。説得力がないと、怒られても痛くも痒くもない状態となる。反発するだけになるからだ。
 また、同様に白けさせることが多いのが、“陰口”である。悪口を言うつもりがなくても、愚痴ってしまうことがある。これがマイナスに作用する。部下からすれば「わかっているなら注意してよ。周りは迷惑しているんだから」と感じてしまう。悪口はなお悪い。結果として間接的に耳にすることになる部下は大きく傷つくことになる。組織のチームワークも良くならない。
 部下を正しく指導していくためには、しっかりと自分がやっていることが言っていることと一致しているか、チェックしておくことが必要である。言う基準と、やっている基準が2つあると、部下はやっていることを真似るからである。

3. 「おいあくま」

 “おいあくま”とは「おこるな」「いばるな」「あせるな」「くさるな」「まけるな」のことで、部下育成時の管理職の心構えでもある。「怒るな」は意識できても、「いばるな」や「くさるな」ができていない管理職は多い。
 上司だから「上から目線」で良いというわけではない。言葉遣いにしても、指示の仕方にしても同じである。それは、管理職の「焦り」から来ていることが多い。業績が思ったように伸びない、部下が思うように育たない。当たり前である。全てが計画通りなどには進まない。山あり谷ありである。
 だから諦めてはいけない。諦めたら「負け」なのである。“おいあくま”は、管理職の基本として身に着けてもらいたい。