【第141号】何を持って「充実」とするか

1.「お金」と「やりがい」

 良く言われる「物質的インセンティブ」と「精神的インセンティブ」でもある。答えがあるわけではないが、「お金」による社員満足度の向上には限界があるようである。幾らあっても十分にならないからである。年収300万円の人は300万円の生活をするし、600万円の人は600万円の生活をする。だから、それぞれがギリギリになるのである。しかし、最低ラインがあるのも事実である。一定ラインをクリアしないと生活ができない。
 「やりがい」はそこに評価・認知が伴う。だから、限界がない。どんな仕事を与えるか。その仕事の世間や社会の認知度はどうか、社内における認知度はどうか、が重要となる。

2.「仕事」と「家庭」

 もうひとつ、重要な要素に人生の時間の大半を費やすことになる「仕事」と「家庭」の両立である。時間的な部分で言うと、両立していくことは簡単なことではない。1日24時間をどのような優先順位で“使用していく”かがポイントとなる。
 どちらも満点にはならない。仕事の時間が取られて家族との時間が確保できなかったとしても、改善はできる。時間という「量」のハンディを密度という「質」で補うことが可能だからだ。密度とは字の通り、コミュニケーションの量であったり、子供とのスキンシップであったりする。
 その逆の考え方はどうか。仕事より家庭が大事という考え方である。この価値基準で勤務時間中に「充実」を図っていくことはかなりの努力を要する。会社からも顧客からも高い評価をもらわないといけない。存在価値を認められないと、会社から和を乱す社員と見られる可能性がある。

3.「会社」と「顧客」

 この両者からどのような評価をもらっていけば良いのだろうか。給与や雇用の確保という視点から見れば、会社からの評価が最終的なものになるのだが、一番大事なのは、「顧客」からの評価である。
 「お金」と「やりがい」との関係でもあるのだが、お金をくれるのが「会社」であり、「やりがい」をくれるのは「顧客」だからである。「顧客の喜ぶ顔が見たい」「顧客から感謝されたい」というのは、仕事をしている人間の当然の思いであり、実現すべき事項でもある。
 「顧客」の評価は、感激することもあれば、残酷なこともある。しかし、それが事実であり、客観的な評価である。
 それぞれの価値感の中で、「充実」を求めていく必要がある。PDCAのサイクルは短いほど実行力があがる。日々の生活も同様である。毎日、寝る前に、その日のすごし方の反省をしたい。