【第133号】改善が進まない会社

1. 幹部会議が怪議になっている

 ある改善がちっとも進まない会社の話である。幹部会議は毎週開催されているのであるが、これがまったく機能していなかった。まず、業績についての検討がなされない。受注状況とか、2~3ヶ月前の「結果」についての報告はある。しかし、それで終了。当月の見込み、数ヶ月先の見込み、受注だけでなく、売上、利益や在庫、利益率などの指標の推移などが把握されていない。当然、差額対策という概念がなく、営業部門、購買部門などの「環境が厳しくて大変」という話がされて終わってしまう。
 また、テーマの重要度が検討されていない。“給与の高い”幹部が貴重な時間を使って会議をしているのに、参加者の一部の人が少し話し合えば、解決するように些細なこともテーマにのぼる。

2. 誰も責任を取らない他責主義

 深刻な課題を話し合っていても、「自分たちは本当に一生懸命にやっています」と繰り返す。できないのは、自部門以外の努力が足りないから、と言わんばかりである。
 どうしたらできるのかの視点が幹部自身にもない。来期の方針策定においてのミーティングでも、環境の厳しさは訴えるものの、市場分析やライバル分析ができていないため、具体的な議論に入れない。できないのは、自分たち以外の頑張りが足りないからであり、景気が低迷している環境では、売上(利益)が減っても仕方ない、という考え方が根底にあるため、危機感を持つ社員が少ない。

3. 業績の把握が不透明

 前述したとおり、このようなやり方であれば、当然、業績が把握することができない。今、儲かっているのか、損をしているのか、誰も理解していない。「頑張っているのだから、儲かっているのだろう」という感覚で判断している。「これだけ受注しているのだから、利益もついてくるだろう」という推測から安心してしまうのだが、一方で、「低価格競争に巻き込まれている」とか「仕入価格の値上げ交渉が厳しくて」という発言をしてしまう。
4. 結果として
 最終的に、会社の業績は売上は順調ながら、利益という成果がついてこない結果となった。仕入原価のコントロールをしっかりやろうという年度目標も結局、実現できなかった。会議のやり方、業績把握の仕方、会議資料の作り方など、変えなくてはいけないところは沢山ある。しかし、一番重要なのは、幹部社員の意識改革である。自分たちの中にある「ルール」を変えて、行動に反映させていくことが必要である。