【第131号】自分磨きは転職準備?

1. 終身雇用と忠誠心

 年功序列と終身雇用は終わった、と言われても、まだまだ中小企業では、年功序列型賃金制度は残っているし、基本的には大半の企業が終身雇用である。しかし、会社に対する忠誠心はあまり高くない。
 仕事で何かを実現したいわけでもなく、また稼いだお金で何かをしたい訳でもなく、仕方なく働いている社員が増えてきている。決して不真面目なわけではなく、真面目にコツコツと与えられた仕事はするが、それ以上でもそれ以下でもないということである。
 企業側からすれば、やはりもの足りない状況である。定年を間近に控えたベテラン社員のモチベーションが低下するのと、入ったばかりの若手のモチベーションが上がらないのとでは、意味が大きく違う。会社の将来へのリスクが高いということである。

2. スキルアップは誰のため?

 一方で、一生懸念に自分磨きに精を出す社員も増えてきている。以前もこのコラムで触れたが、異業種交流でも「朝活」などに顔出している社会人は意欲的に自分のスキルを高めようとしている。人脈づくりであったり、アウトプット力であったり、何か自分の武器になるものを得ようとしている。彼らは何のためにスキルアップしているのだろうか。
 確かに独立したい、という方もいる。転職したい、という方もいる。しかし、いずれとも自分の意思だけでは無理である。タイミングや出会いなど機会も重要である。
 そういうスキルアップは決して、自分のためだけのものではない。今いる会社でポジションをあげるためにもなるし、取引先へのサービスの質のアップにもつながる。自分につながる全ての関係者のためでもある。

3. リストラへの対抗策

 当然、会社内での評価が上がれば、リストラのようなことがあっても自分を守ることができる。「転職するつもりはないから、自分磨きなんかしなくていい」と思っていると痛い目にあう。転職ではなく、退職になりかねない。
10年前と比べて、格段に自分を高める手段や機会は増えてきている。SNSはネットだけのヴァーチャルな世界のものではない。リアルとの繋がりも強くなってきている。そのネットワークを活用して、情報交換をするだけでも、自分の世界が広がる。
 人間力を磨くためにも、いろいろな人と交流していくことは重要である。会社の肩書きや立場を超えて意見を言ったり、アドバイスを聞くことができる。
 自分の可能性を高め、選択肢を増やすためにも、アクションを起こすことが重要となる。先入観を持たず、取り組んでいただきたい。