【第125号】社員のわがままを嘆く前に

1. 会社と社員の思いはどこか

 社員教育をする中で、確かに社員の甘えや考え方の至らなさを感じることはある。しかし、一方で会社の社員への向き合い方に疑問を感じることもある。
 社員が「お金」のため、つまり生活のためだけに仕事をしている状況というのは、あまりいい状態ではない。給料の水準次第でモチベーションが大きく変わってしまう。理想を言えば、「会社という器を通して、自分の夢や思いを実現できる」という状況下に置かれていることがいい。会社としての存在価値もそこにあるはずである。
 しかし、現実には、会社は「使ってやっている」という思いから脱却できない場合もあるし、社員は「言われたことだけをやればいい」にとどまっている場合もある。これでは、生産性もあがらず、会社の業績も伸びない。当然、給料も上がらず、お互いにとってメリットはない。

2. 制度の後進性

 「うちの社員のレベルはまだそのレベルではない」という理由で、人事制度のレベルアップを拒んだり、オープン化を進めようとしないケースもある。
 しかし、それは“社員のレベル”の問題なのだろうか。トップあるいは幹部のレベルが変わっていないことを示しているのである。これまで変えられなかった理由は仕方ない。制度のあるべき姿も知らなかったし、時代も要求していなかった。ところが、今は違ってきている。様々な人事制度や問題点を紹介した本も書店に数多く並ぶようになったし、働く側の意識も変わった。変わっていないのは、その会社の制度であり、トップ・幹部陣の考え方なのである。
 それでも、社員は筆者からみると「優しい」。雇われている身だということに甘んじ、特に不満を唱えることなく仕事に励んでいる。経営陣はそんな社員にどう報いるのか、真剣に考える必要がある。自分に自信がある優秀な社員がそんな環境にいつまでも我慢し続けるとは限らない。

3. 相手を理解しようとする姿勢

 やはりお互いがお互いを理解しようとする姿勢が大事になる。ほんのわずかの制度のオープン化で社員のヤル気が変わる。トップの姿勢・考え方が変わったことを示すだけで、社員の気持ちも変わるのだ。
 現場でコンサルティングをしていて感じるのは、思った以上に制度のオープン化は進んでいないということ。つまり、社員に報いる姿勢での差別化(優秀な社員を採用する受け皿づくり)することは難しくないということになる。
 給与水準をあげることだけが、モチベーションの向上策ではないのである。