【第113号】リーダーの位置づけ

1. マネジメントの分担

 各組織にはマネジメントを任されている管理職が何人かいることと思う。その方々のマネジメントの分担が適切かどうかは組織の運営に大きく影響する。
 部長の下に2人の課長がいたとする。明確にはグループ分けされていないが、役割分担をしている。部長は№2として両課長を育成したいので、それぞれにテーマを与えている。問題は一方の課長が、部長といっしょにいるときにお客様や社内の上司から、自分が担当していないテーマに関する要望や依頼、指示を受けたときである。「それは自分の担当ではない」と言えるのか。言えなかった場合、もう一方の課長の担当(役割)はどうなるのか、ということである。
 課長としてのプライドから「できない」とか「自分の担当ではない」とは言えないだろうし(お客様からすれば、誰が担当かは関係ないことだし、上司にしても組織として対応してもらえばいいことなのである)、「わかりました、自分が対応します」と言えば、もう一方の課長の立場がない。

2. 役割のコンセンサス

 このときに、問題なくスムーズにことが進むためには、両課長の役割分担が管理職の間でしっかりと認識されていることが必要である。また、お互いのやっていることを尊重すると同時に、アドバイスを受け入れる姿勢も重要になる。ベテランであるとか、性格が頑固とか怒りっぽいとかは関係ない。
 ここでコンセンサスがとれていないと、相手の役割範囲を無視することになりかねず、人間関係に問題が生じる。信頼関係はお互いの立場を尊重することからスタートするのであり、相手の立場を無視することになるのは最悪である。ましてや上司からの指示や顧客からの依頼を理由に、自分がこれまでやってもいないことで、相手を非難したり、指図することは避けるべきである。

3. 序列の難しさ

 この2人の課長に序列がある場合とない場合でも違う。経験した仕事の内容やその中であげてきた成果、専門性なども違うはずである。序列がはっきりしている場合は、指示や依頼などもすっきりいくと思うが、序列が不鮮明な場合は、難しい。ましてや前述のような相手の役割を超えた場合は一方がやる気を失ってしまうこともあり、扱いには注意が必要である。
 どちらにしても、お互いが相手の仕事を理解し、尊重する風土があれば、幹部同士がいがみ合うことはない。上司と部下のコミュニケーションだけでなく、上司同士のコミュニケーションも重要なのである。組織の中での幹部の位置づけを曖昧にすることはリスクが伴う。