【第59号】やり切れない体質の影に

1.信賞必罰があるか

 「決めたことが最後までやりきれない」「やらない人とやる人に分かれてしまう」などが悩みの企業は多い。そういう企業の共通点は、信賞必罰ができていないことである。
 業績が達成しなくても、多少クレームを起こしても、本人が反省する仕組みがない。逆に数値目標以外の貢献に対して(それぞれ社員がやる、と言ったことを実行したとしても)、評価する仕組みがない。当然、評価する人もいない。これでは、本当に興味がある社員しか続けられないし、組織として取り組む空気を生み出せない。
 ここ数年は特に景気が厳しく、目標未達社員がどこの企業も続出している。そうすると完全に組織、社員に「負けグセ」がついてしまっている。「弱いから負けるのはではない、負けるから弱くなる」のである。

2.小さな達成感の連続が必要

 ということは、いかに達成する(勝つ)クセをつけるかが重要となる。目標管理の重要なところは、その小さな達成を途中にいくつ設定し、そこに導くか、なのである(そこに目線がいっている目標管理制度を運用している企業はほとんどないし、だから機能しないのであるが)。
 小さな達成を繰り返すうちに勝ちグセがつき(強いから勝つのではなく、勝つから強くなるのである)、目標達成集団ができあがる。
 そしてその達成を評価してあげることで、社員のモチベーションが高まり、継続性がついてくる。

3.やることを目的化しない

 様々な会社で「業務日報」や「作業日報」をチェックすることがあるが、プロセスチェックの機能がない会社は「特になにもありません」というコメントが散見される。
 「何もない」ということは、本来、何も仕事をしませんでした、ということである。書いている人は、「特別にあわてて報告することはありません」「クレームはありません」「トラブルはありません」という意味でそういうコメントになっているのだろうけど、正しい処理ではない。お客様との会話、社員との会話、業務中に気付いたこと、予想時間と比較して早かったのか、遅かったのか、一致していたのか、など記入すべきことはたくさんある。
 これができていない企業は「記入する」ことが目的となっているからである。何のために記入するのかが明確であれば、こういうことは発生しない。
 改善活動やプロジェクト活動も同じである。活動の途中で、必ず「何のため」を振り返る。そうすることで、手段の目的化を防ぐことができる。
 継続する力を今一度、チェックしていただきたい。