【第55号】取り組む課題をマネジメントで解決する

1.掛け声だけの目標管理

 日常業務の改善活動を実施している企業は多い。「5S活動」「コスト削減」「販売増加」「営業力強化」など。しかし、それらの推進内容を聞いてみると不安を覚えるものも多い。
 ある製造メーカーは、コスト削減に取り組んでいるのに、個別原価が管理されていなかったり、残業時間の管理が結果管理になっていた。これでは、成果のある経費削減などできない。
 また、ある販売会社は、「利益率のアップ」に取り組んでいたが、取引先ごと、商品ごとの粗利管理ができていなかった。見積もりを作成する担当者任せになっていたのである。これでは、利益の向上は望めない。
 目標として掲げたことの進捗状況を管理し、チェックする体制が整っていない。これでは、“結果として”目標に達成した、達成しないになってしまう、結果管理体制である。

2.課題を解決するために

 課題を解決していくためには、その課題を解決するための対策を具体的に策定し、誰が何時まで、どのように進め、求める成果はどのくらいなのかが明確になっていないといけない。
 そして、そのためには、何ができていないといけないのか、どういう管理が必要なのかを検討することが重要である。問題は、「そんなことできない」「無理である」という意見を排除することである。できないと思うからできない。個別原価にしてもそうであるし、利益率管理も同様である。価格がシビアな時代に利益率をあげるのは確かに難しい。しかし、それは、その“価値”を認めさせていないからである。高いもの、安いものには「理由」があるのである。

3.マネジメント能力向上のために

 マネジメントは経験や勘だけでは、習得できない。最近、ドラッカーの本などが改めて注目されたり、読まれたりしているが、知識として習得しなければならない部分がある。
 「経営の原理原則」は、ある意味定石として覚える必要もある。様々な素晴らしい経営者が名言として残しているものも理解しておくことも大切となる。
 社内に何人のマネジメント能力を有した人材を確保するのか。経営資源といわれるヒト・モノ・カネ・情報をしっかりとコントロールできる幹部を必要人数そろえることがポイントである。
 タナベ経営では、毎年5月スタートで「幹部候補生スクール」を開催している。1972年から全国各地で開催され、多数の修了生を輩出している幹部研修の折り紙つきコースである。是非、活用を検討されたい。