【第54号】中堅社員の活性化が課題

1.中堅社員の不活性化

 ここ数年、弊社の中堅社員向けのセミナーに参加する方々の元気がない。全体的に不活性化してきている。ここでいう『中堅』とは、年齢的なものではなく、立場として中堅クラスということである。会社によっては、20代後半ということもあるし、40代ということもある。しかし、何れも上には部長・課長クラスの幹部社員がいて、下には大小に関わらず部下を持っているということである。
 20代の場合は、「部下が大量に入ってきているので、中堅的な立場になっている」ケースが多く、40代の場合は、「入社歴と経験年数から、中堅的な立場になっている」ケースが多い。自らの力で望んでなったのではないという点が共通項である。
 傾向としては、「責任を持って最後まで仕事をやり遂げられていない」「行動力や自立性、発言力が低下してきている」「このままで良いのかという不安・不満を抱えている」というものだ。

2.中堅社員の抱える課題

 不活性化している中堅社員のこれまでの成長過程にも共通項がある。ひとつには、仕事量の減少により、経験値が伸びてこないことである。接客数、販売数量、案件数、プロジェクトの数など・・・。
次にあるのが、OJTの質が低下していることである。社員数が最低限になっているため、新人から中堅になるまで、しっかりと教えてくれる人がいないケースが多い。採用を抑えていた時代でもあり、社内に情報交換する同僚社員が少なかったり、手本となる近い世代の社員がいないケースも多い。
もうひとつには、取引先にも余裕がなくなり、“育ててくれる”関係になっていないことである。筆者も30歳前後の営業マン時代、得意先の社長様から学ぶことも多かったし、逆に取引先の若手営業マンにいろいろと教えてあげることも多かった。

3.活性化させるためには

 まずは、仕事での達成感を感じさせてあげることである。なんとなく中途半端で、上司の言われたことをやっていればいい、という仕事のやり方が多くなっており、達成感を得ていない。ここからの脱却が必要である。
 OJTも社員が少ない中で効率的に行うには、やはり組織の力とOff-JTの活用が必要である。飲みにけーしょんだけでなく、クラブ活動やサークル活動、委員会活動など、仕事以外でのネットワーク構築と、他部署の先輩との交流を通じて仕事のやり方などを学んでいく。
 社外ネットワークの活用も有効である。以前より時間は取れるはずなのだが、なかなか異業種交流などの機会を得られていない。是非、多くの人との交流を持つことで、閉塞感から抜け出して欲しい。