【第53号】時間活用はツール次第

1.手帳の活用

 環境変化のスピードアップとともに、時間の重要性は更に高まっている。以前にも24時間の活用について触れたが、今回は更に深く考えてみたいと思う。
 社会人でもっとも重要なものの一つが、時間管理である。「付加価値を生む」時間帯をいかに増やすかがポイントとなる。「ぼんやりとした時間」「意味のない会議の時間」をどうやって減らすか。どういう時間がムダなのか。それは“目的”のない時間である。「脳を休める」という目的のある休息時間は、ムダな時間ではない。「まず情報を発信させること」を目的としたフリーディスカッションなら、一般的な会議目的のような結論を求める必要はない。
 そうした意義のある時間を増やすためにも、手帳の活用をお勧めしたい。「目で見る」管理は重要である。毎日、振り返るくせをつける。自分が「付加価値を生んでいた時間」を手帳で色分けする。すると思ったほど、多くないことに気付くはずである。

2.ITの活用

 インターネットは時間と場所の概念を変えてくれた。これを時間活用に生かさない手はない。まず24時間利用可能ということだ。電話や面会は相手がそれに対応できる時間でないと意味をなさない(留守電や伝言という手段はあるが)。メールは発信する側も受信する側も場所を選ばない。お互いが違う人間と食事をしていてもメールであればコミュニケーションが取れる。
 また、スケジュールの管理についても期限が近づくとアラームを鳴らしてくれたり、情報の共有化が図れたりと、その活用は今、ソフト次第で無限に広がる。
 相手の都合に関係なく発信できるということは、うっかり忘れてしまった、ということも防止できる。思いついたその瞬間にメールをうつ。「あとで電話しよう」は忘れることが多いものである。

3.他人の活用

 仕事の速い人は、この「他人の活用」がうまい。仕事も自分で抱えない。他人をうまく使うのである。仕事の“ボール”は常に他人にある状態が望ましい。作業、判断、保管、全てにおいて他人を活用する。中には「記憶」の部分も他人を活用するケースがある。情報を職場のメンバーと共有化することで、自分の備忘録とすることができる。「あれはどうだった?」「いつまでだった?」など確認することができる。
 ただ、これらは何れも副次的なもので、当然、仕事の主体は自分自身であるべきである。結果として、他人を活用している、という姿が望ましい。お互いがこういう状況になれば、仕事の補完が働き、モレが少なくなるし、報連相も密になる。
 「時は金なり」である。工夫をこらして価値を高めよう。