【第50号】制約条件を取り払う

1.誰が限界を決めているのか

 意識しないでいると多くの人が知らず知らずのうちに“自分で”限界を決めてしまう。「ここまでしかできない」「私には無理」。できない、無理を思ったことは絶対に実現しない。
 普段、第三者の意見を求めない人はなお更である。普段やる日常の仕事だけでない部分も自分で限界を決めていることがある。
 プライベートで旅行にいきたいと考えるとき、ほとんどの人が自分の自由になるお金と時間の範囲で行くことを考えているはずである。人間はそのように自分自身で様々な制約条件を決めている。
 だから「あなたのやりたいことは」「あなたの夢は」と、質問自体に制約がないものを考えられなくなってしまう。子どものように現実をよく理解していない方が発想が自由になるのである。

2.業界の常識は非常識

 現代の社会において、これまでの延長線上では解決しない問題が増えてくると、この制約条件が邪魔になってくる。
 よく言われるのは「業界の常識は非常識」「日本の常識は世界の非常識」ということである。狭い社会の中にいると、それがいつの間にか常識化する。「これが当たり前」。しかし、その当たり前は周囲からみると異常だったりする。
 計画を立てる、ビジョンを作るときはここに必ず注意する。「本当に当たり前」なのだろうか。「お客さんは必ず値引きを要求するもの」「必ず合い見積を取るもの」と決め付けていないだろうか。
 それは「無理」としたことの、無理の理由は何か。実現するために何をクリアすべきかを明確にしただろうか。時間、お金、能力などの制約条件は何か。それは本当に解決できないものか。

3.自分の可能性を信じること

 やろうという「意志」で解決できるものは多い。今は死語になりつつあるが、「死ぬ気で取り組め」ば何とかなることも多い。
 人間は普段、いざという時のために本来持っている力の数分の一しか使っていないといわれる。頭脳もそうである。まだまだ使う余地はあるし、可能性も十分ある。
 やれると思い、やると決める。まずはここからである。今、実現している科学の分野だって、ほとんどの人はできないと思っていたことを一部の人ができると信じて、研究・開発を続けた成果なのである。
 これから会社を引っ張っていける人は、自分たちの可能性を信じられる人である。是非、そういった視点で来期の計画を策定していただきたい。