【第44号】若手社員のエネルギーを活用する

1.熱意がないと決め付けていないか

 先日、あるクライアント先の若手社員研修に出講した。対象は、30歳前後の社員が中心であった。主催者の事務局サイドと打ち合わせをしていて、初の試みということもあり、かなり不安視する部分があった。「グループ討議が盛り上げるだろうか」「講義内容が理解されるだろうか」「トップの話をしっかりと聞けるだろうか」など、やはり最近の若手社員は消極的で自分の意見を言わないというイメージから来るものが多かった。
 しかし、実際はまるっきり違った。講義は眠そうに聴いている社員も多かったが、これは、遠方から来ている同期入社の社員との交流を図り、それが行き過ぎてしまった結果だったらしく(それはそれで社会人失格でもあるのだが)、私はそういうやんちゃな面はこのぐらいの年齢の社員には必要だと思っている。
 グループ討議はしっかりと討議され、時間内に終了し、質疑応答も一部の社員に偏りはあったものの、白熱していた。

2.横の連携を強化する

 普段の組織はどうしても上下の中だけで仕事をすることが多い。拠点展開している中小企業は、1営業所の人数が少なくなり、どうしても限られた上下関係が中心になるからだ。なかなか先輩後輩としての相談は難しい。上司・部下になる。
 そうなると若手社員が孤立する恐れが出てくる。それを救うために、横の連携を作らせる。今回のような研修はそのひとつの手段である。中には2年ぶりに会う同期もいたようである。
 新入社員から中途採用者まで、入社研修・フォローアップ研修などを通して、その横の関係を意識させ、定期的に情報交換できる場を設定すると効果的である。

3.マネージャーと連携して育成する

 もうひとつ必要なのは、若手社員の上司であるマネージャーと経営陣が連携を図ることである。どちらかの責任だけではない。上司が正しくマネジメントしているか、経営陣はチェックし、若手社員の顔色、態度がおかしければ、すぐにマネージャーに確認を取る。今回の研修でも、参加者の中で目つきが普段と違う社員がいて、トップがすぐに気付き、マネージャーに問い合わせたところ、やはり思いつく原因があった。
 若手社員は自分たちの持っているエネルギーの発散の場所を探している。それをうまく見つけて、発散のさせ方を教えてあげるのも、上司そして会社の役目である。
 それがうまくできた組織は活性化していく。