【第39号】公平と公正とマネジメント

1.公平と公正のバランス

 公平と公正のバランスが一番問われるのは、人事考課の時である。納得度の面で問われるのが「公平」の部分。ルール通りに実施していくことが「公正」の面で問われることである。
 納得度だけに着目してしまうと、すべてが個別対応になってしまい、ルールに沿って処理することができなくなってしまう。一方、ルールの面ばかりを重視すると、微妙な調整が行えず、納得度を下げてしまう。「悪法も法なり」の原則で、全てルール通りにするのは、実際の経営の現場では不可能である。個別だけでは応できない、ルール通りだけにもできない、というのが中小企業の現場であるから「例外管理」が必要となってくる。

2.マネージャーの判断基準

 日々、現場での決断を迫られるマネージャーにとって、この例外管理をしっかりとやっておかないと、判断や対応に一貫性がなくなり、対外的にも社内的にも信用を失ってしまう。
 どういう場合に原則論を突き通すのか、どういう場合に「例外的」に対応すべきなのか。この判断基準がマネージャーには求められる。
 様々な企業で、マネージャーの判断基準を確認してみると、どうも多くの場合、これまでの自己の経験を判断基準にしていることが多いようである。
 しかし、これではマネジメントできない。マネージャーが現場の第一線で担当者として仕事をしていた時とは、外部環境も内部環境も変ってしまっている。求められるものが当然違う。「昔はこうやっていた」「俺はこうやってきた」では通用しないのである。

3.視点をどこに置くのか

 では、どこに視点を置けばいいのか。
 これはいつの時代も普遍である。「お客様視点」「相手目線」である。ただ、こういうと、「お客様の言いなりになっていては仕事にならない」「利益がでない」という反論が返ってくる。それは本当の意味でのお客様視点ではない。
 お客様の利益とは何か。お客様も様々な取引先がある。もし、どこの取引先に対しても自分のことしか考えず、強引な値引き交渉をしていたらどうなるだろう。本当に価値あるものを提供してくれる取引先が相手をしてくれるだろうか。
 お客様がある意味真っ当な取引姿勢を続けていけるように、こちらから助言していくことも「お客様視点」なのである。
 こうすれば、対外的にも公平と公正のバランスをとっていけるようになる。相手のためを思う、「利他の心」がバランスには必要となる。