【第35号】自分で管理できる時間をふやす

1.ビジネスの世界は自分で管理できない時間が多い

 ビジネスの世界は自分ひとりで完結するものはない。必ず取引先があるし、関係先がある。よって、「自分がこの時間がいい」といってもなかなかそうならないことが多々ある。アポイントもそうだし、締切時間などもそうである。
 家族がいれば、家族の時間もあるし、通勤があれば、交通機関の制約もある。人間は食事もしなければならないし、睡眠もとらなくてはならない。そういった中で、自分のスケジュールを組み立てていくのは、そこに意思がなければ難しいものなのである。
 ところが、ビジネスマンの中には、手帳を持っていない方、使っていない方がいる。漫然と会社に来て、与えられた仕事をこなし、終わり次第に帰る。これでは、“機械”と同じである。高校、大学と高等教育を受けてきて「考える機能」を持った人間がやることではない。

2.時間の使い方を見直す

 しかし、多くは、この「考える機能」を使っていないのである。ちょっと忙しいと「残業しなくては」「休日出勤しなくては」となる。与えられた時間内で業務をどうこなすか、の知恵が働かない。
 これでは、生産性もあがらないし、時間の使い方もうまくならない。仕事の効率があがらないばかりか、私生活の質の向上も図れない。
 私生活が充実しないと、新たな発想も出てこないし、健康も保てない(当然、私生活だけが充実している場合は、論外であるが)。公私のバランスが重要なのはそういうことである。オンとオフの使い分けも時間管理のひとつである。

3.パラレルで仕事をすることに慣れる

 当然、時間の使い方を工夫するうえで、仕事を複数同時にこなしていくことが必要となる。しかし、これもいきなりできるものではない。どうしたら一方に偏らないで進められるか、忘れずに処理することができるか、一方の質を落とさずにできるか、などはある程度経験を積まないとわからない。
 私も10以上のクライアントのプロジェクトに同時に関わったことがあるが、最初は頭が混乱してしまった。自分のコメントでどこで何を話したのか、覚え切れなかったのである。そこで、コメント後に直ぐにメモを残すようにして、それを手帳に記録するようにした。これによって、どこでどんなコメントを残したのか、課題を与えたのかが即わかるようになった。束になると溜まっていやになるが、その場その場で書き込んでいけば苦にならない。
 時間の使い方がうまい人は仕事の切り分け単位が15分であることが多い。つまりちょっとした時間に処理できる仕事は何か、をしっかりと理解しているのである。