【第33号】「出る杭」を探し出せ

1.周りに気を使っている若手社員

 最近の若手社員はどうも周囲に気を使いすぎているようである。最近もある会社の若手社員のインタビューを通じて、言いたいことを同僚にも上司にも言えていない状況を見る機会があった。私に話したことが誰にも漏れないことを確認すると、堰を切ったように自分の思いを話し出した。
 彼らは何故、自分の身内である社員にその思いを話せないのであろうか。ひとつには周囲に気軽に相談できる年の近い先輩社員がいないことである。あるいは年が近くても、中途採用同士であったり、新卒と中途採用の関係であったり、“一体感”を感じられていないために、親近感がない関係になってしまっている。
 もうひとつには、手本となる社員がいないため、言ったらどうなるのか、不安があることである。

2.社員が活躍できるフィールドとは

 筆者自身も今から考えるとある意味「出る杭」だったのかもしれない。入社2年目からプロジェクトメンバーになり、一部門を任してもらえた。平社員の時に、新システムで使う会社の帳票類のデザインから、印刷会社との交渉まで行った。人によっては押し付けられたというかもしれない。でも、入社したての若い社会人にとっては、自分の活躍フィールドがとてつもなく広がった感覚に痺れていた気がする。
 社内でも、社外でも話をする相手は自分よりずっと年上である。しかし、業務の内容に関する知識では負けているとは思わなかった(と、自分では思っていた)。
 プロジェクトがある程度終了してから、担当部長が交代されたが、後任の部長は私がした仕事の範囲に驚かれていた。それだけ、多くの仕事を任せ、権限を与えていたのである。

3.20代の可能性にかける

 今の20代と筆者の時代の20代でそんなに大きな能力差があるとは思えない。コンピューターに関する知識などは、現在の20代の方が遥かに上である。
 教える側と教えられる側の年齢が離れているケースも増えてきている。また、人件費の抑制から現場での人員も最小限になり、じっくり教えている時間の確保もままならない。それであれば、OJTだけでなく、Off-JTをうまく活用し、時間外のコミュニケーションを増やし、先輩・上司と後輩社員の一体感を作り、仕事を覚えようとするモチベーションを上げてあげる必要がある。
 「覚えたい、もっと知りたい」と思わせれば、教育は半分以上終わったも同然である。手取り足取り教えてあげるだけでは、教育の効果は高まらない。
 今一度、社内の「出る杭」を探してみてはいかがだろうか。