【第32号】“草食男子”は現代特有のものか

【草食男子】定義:恋愛などに「縁がない」わけではないのに「積極的」ではない、「肉」欲に淡々とした「草食男子」 「平成男子図鑑」より 著:深澤真紀氏

1.昔の人も恋愛・結婚に奥手だった

 恐らく異性に対して何の抵抗も無く話しかけられる人の方が少ないのではないか。やはりどこかで意識してしまうはずである。
 今の世代はわからないが、筆者たちの世代(昭和30年代後半から40年代前半)は、小学校の運動会などのフォークダンスで女の子と手をつなぐことを恥ずかしがった。“冷やかされる”のがイヤだったからだ。それは思春期を迎えて異性に興味を持ち始めてからも変らなかった。高校生時代、彼女ができてもなかなか手が繋げなかったし、当時は、携帯電話もなく、自宅の電話番号を聞きだしても電話をする機会がなかったため、聞き出すことも躊躇った。「草食」という表現がなかっただけで、“奥手”の男子は大勢いたのである。

2.草を食んでいてもサバイバルはある

 しかし、野生の世界では弱肉強食であり、草食動物であっても生きるために狩をしたり、子孫を残したりすることは当然であり、「欲」がなくては生きていけない。
 人間の世界でも同様である。人からの施しだけで生きていけると思っている人はいないであろう。自分で自分の食い扶持を見つけて、生きていかなくてはいけない。働く欲や食事をする欲がない、とは言ってはいられない。現代社会は、「競争社会」であり、“欲”に対して消極的であっても別世界で平和に暮らすことは困難なのである。

3.自分への言い訳にしているのならやめるべき

 「ガツガツするのはみっともない」「積極的でなくとも困っていない」という姿勢では、今は良くても将来に影響を及ぼす。それも甘んじて受け入れられる保証があるだろうか。将来、どんな社会が待ち受けているのかは誰も予想がつかない。一人で暮らそうと、今の収入レベルで暮らそうと別に問題ないかもしれない。
 しかし、リスクを減らす機会が与えられているのなら、あえてそれを放棄する必要はない。周囲の人と積極的に交わっていくことで、自分が成長できるのなら、それを選択するべきである。社会貢献は、「人のために何かをしてあげたい」という“欲求”から始まる。自分は「草食系」である。だからガツガツしない→一生懸命は嫌い、になっている若手はいないだろうか。自分を納得させるだけの「言い訳」にしているのなら、意味のない色分けである。