【第28号】中間管理職の重要な役割り

1.職場環境の雰囲気づくり

 職場の活性化や社員のモチベーションアップが企業の課題になってから、企業では様々な取り組みが実施されてきたが、どうも効果が出ていないようである。なぜ効果がでないのか。それらの施策で重要な役割りを果たすべきである「中間管理職」が“それどころではない”状況にある、ということが原因ではないだろうか。
 「業績をあげろ」「部下の残業をコントロールしろ」「クレームを減らせ」「部下育成をしろ」などと、現場の責任者である「中間管理職」には、様々な課題が与えられている。目の前にあるこれらの課題解決に時間を取られて、全体を見て取り組まなくてはならない「職場の雰囲気づくり」まで気が回らなくなっている。
 しかし、その状況を放置できる環境ではなくなってきている。職場の雰囲気が殺伐としてくると、社員の定着率が悪くなってくる。

2.部下とのコミュニケーション

 殺伐としている職場の特徴は、上司の部下への声がけが「指示・命令」中心になっていることである。挨拶も「おはよう」だけでなく、家族のことや取引先のことなどバリエーションに富んでなくてはいけない。部下との信頼関係が希薄な上司は、朝の「おはよう」だけが挨拶になってしまっている。潤滑油的な会話が成り立っていない。
 部下もお客様からの様々な要望と会社の制約との間で、参っているケースが増えてきている。そういった部下の悩みや苦労をわかってあげているだろうか。中間管理職としての苦労を誰もわかってくれない、という不満だけになっていないだろうか。そして、経営幹部はそういった中間管理職の鬱積した気持ちを理解しているだろうか。
 また、鬱積した不満を中間管理職が部下に撒き散らすことで、社員のモチベーションの低下を招いていないだろうか。

3.正しい評価と仕組み

 正しい評価とは、部下の納得を引き出し、新たな目標を設定してあげ、そして共通のテーマを見つけることである。部下の評価が悪いのは、100%部下自身に原因があると思っている管理職は間違いである。口で言うだけなら、誰でもできる。率先してみせる、いっしょにやってみせる、という行動が伴わなくてはならない。
 評価のレベルが上がらないのは、評価する側の幹部が未熟か、がんばらせる仕組みが不十分かのどちらかである。
 評価制度とは、社員に点数を付けるだけが目的ではない。どうしたら「楽しく、いきいきと仕事ができるのか」「会社を通じて社会に貢献できるのか」という本来の意味での“働く”ということを理解させるものである。
 中間管理職の果たすべき役割りは、このように難しくそして重要なものなのである。