【第23号】変れない人たちのゆくえ

1.自分たちの「ノアの箱舟」はあるか

 環境は絶え間なく変化しており、それは私たちの企業を取り巻く外部環境から、企業の内部環境も変化している。激流と言われる今の環境化で溺れずに生き残っていくためには、自分たちの「ノアの箱舟」を作って、乗り込む必要がある。
 ビジョンや事業のコンセプトが大事と言われるのは、この「ノアの箱舟」の乗船者のルールになるからである。社員はもちろんのこと、得意先や関係者全員が共有すべきルールである。このルールがしっかりしていないと、激流に飲まれずに助かったと思っても、船の上でいざこざが絶えず、船が転覆したり座礁したりする恐れが出てくる。
 海図をしっかりと描き、羅針盤を用意して、船を正しく進めていくことが必要になる。

2.箱舟に乗る人たちの選別はできるか

 「箱舟」ができても、それに乗る人を選別できるかも重要である。「ビジョン・コンセプトに賛同してくれているのか」「ルールを守れる人なのか」をしっかり見極める必要がある。そこをしっかりと見極めきれないと、お互いの不幸となる。良かれと思ってやったことが、裏目に出てしまうのは、選別がしっかりしていないからである。
 同じ「志」のメンバー(社員、取引先、関係者等)で、乗船員が構成されるから、強い集団となり、時代の荒波を乗り切っていけるのである。
 「取引先の社長が何を考えているのかわからない」「何を大事にしているのかわからない」というのでは、選別できない。「いつも勝手なことばかり言って困らせる」「こちらの言うことを理解してくれない」という取引先は、例え永い付き合いであっても、外れてもらわなくてはならない。

3.それでも変れない人

 企業は環境適応業である。時代の変化に変っていかなくてはならない。変化についてこれない人、仕組み、企業は、生き残っていけない。自分たちが変れなければ、自分たちも、いっしょに淘汰されてしまう。永年の付き合いがある先を大事にするなら、「変ってもらうように」説得しなければならない。“いっしょに船に乗りましょう。新しい地に向かいましょう”と。それが選別する際の姿勢である。
 まわりを見ていると、変ろうとしない人や組織は存在する。人は弱いもので、変るという辛いハードルを越えたがらない。天国と思える場所が、いずれ地獄に変るとしても今が天国であれば出られない。
 変化に取り残される側も増えつつある。警笛は常に鳴らされているのだが、皆さんはどちらの側にいるのだろうか。