【第21号】トヨタ騒動から学ぶこと

1.自分たちの提供する“品質”とは

 「トヨタともあろう企業が」がという枕言葉が付く中で、様々ことが報道されたが、高品質と言われるその定義ははっきりしていたのであろうか。
あるISOを取得している会社の会議室に「品質方針」が張り出されていた。「・・・お客様に満足していただける最高の品質のサービスを提供し・・・・・」と書かれていたので、若手の社員に質問してみた。「わが社における“最高の品質のサービス”って何?」「・・・・・」結局誰も具体的には答えられなかった。
 これはこの会社に限ったことではない。自分たちが提供するサービスや商品で、お客様に満足してもらえる品質レベルとはどのレベルなのか、ということをちゃんと検証している会社は少ない。「顧客満足を第一に」と謳っている会社がCSアンケート調査をやったことがないということが、意外と多いのである。また、調査を実施していても、点数の結果しか見ておらず、満足度を今後どう維持し、高めていくのかまで議論できている企業は少ない。

2.信頼を維持するために

 今回、トヨタの対応が問題だったのか、マスコミ各社の報道が過熱ぎみだったのかは、今後の検証を待たなければならないが、どちらにしても「信頼の低下」を招いたことは間違いない。その低下の度合いや回復のスピードはその信頼の大きさによるが、トヨタ規模の企業ならまだしも、地方の中小企業・零細企業レベルでは、企業の存続に関わる問題である。
 常に、何が大切かを失わない姿勢・意識が重要である。「お客様」が何を期待しているのか、望んでいるのかを常に考える姿勢があれば、大きく判断を誤ることは防げる。自分の都合、組織の都合からものを考えるから、判断間違いを犯すのである。

3.情報のルートを確保する

 今回は権限委譲の問題もあるようだが、情報ルートの確認も必要である。
 社内の情報にしても、社外の情報にしても必要な人に必要な情報がタイムリーに届く仕組みがあるのか。新聞を何紙もとっていても、届く情報に差異はない。全国紙、地方紙、経済紙、業界紙程度で十分である。加えて、ネット情報(新聞・TV系、週刊誌、フリージャーナリスト、専門家、評論家など)をいかに収集するかも重要である。
 そしてその収集した情報をどのように伝えていくか。配信の方法、配信先の数、配信後のフォローなども決めておく。また、即日なのか、1週間以内なのか、など期限も定めておきたい。スピーディな解決が求められる経営課題は多いからである。