【第16号】ホワイトカラー(事務担当者)の生産性向上

1.事務処理は「作業」に埋没してしまう

 デスクワークと言われる「事務処理」はルーチンワークが多く、月単位や年単位の周期を持って繰り返されることが多い。よって、ある程度の年数が経つと業務内容はほぼ理解され、トラブルなく処理できるようになる。
 ここで重要なのは、業務を繰り返している間に、慣れから発生するマンネリ状態となり、日々の業務に忙殺(埋没)されてしまうことである。優先順位や効率を考えずに、目の前にきた業務をこなせばいい、という発想になると、生産性は低下し始める。1年前と同じ仕事を繰り返しているのに、勤務時間が短くならないのである。事務作業の場合、1年間繰り返すことで容易にスキルアップを図ることができる。スキルが向上しているのに、作業時間が短くならないのは、生産性が低下しているからである。

2.事務ほど作業を脱却して仕事にすべき

 日々「応用問題」を解くような営業部門の仕事と異なり、事務部門の業務は上記の通りルーチンワークが中心である。であるからこそ、作業から脱却しなければならない。ある会社で業務改善と生産性向上を組織の枠を超えて取り組んだところ、3年で3倍の生産性になった。3名でやっていた仕事を1名でできるようになったのである。業務の流れ、チェックの仕方、関係者の理解力の向上などを図っていく中でできたことである。

3.常に「改善」を心がける

 事務処理には改善余地があるものが多い。ひとつにはIT技術の進歩である。手作業からPCを使った業務への移管が容易になってきている。書類の整理(保管など含めて)などもスキャナーを使用することでずっと楽になりつつある。
 また業務に精通してくることによる簡素化の余地の発生である。
 関係法令の変更により、業務内容が大きく変わることも多々出てくる。これに合わせていくためにも、常に「改善」を心がけている姿勢が求められる。

4.生産性は絶対に向上する

 このように様々な手を打てば、生産性は必ず向上する。事務部門のスペシャリスト化は女性中心の職場だけに様々なリスクを抱える(途中退社あるいは休業など)。ジョブローテーションを図り、多能工化を進めていくことが必要である。
 事務部門の生産性は企業にとって目立たない部分ではあるが、ボディブローのように効いてくる。ライバルに先駆けて生産性向上に取り組むことが企業体質の強化に繋がる。