【第15号】「やらせてみる」ことの大事さ

1.失敗を恐れさせない

 表面的には若手の社員本人が失敗を恐れてチャレンジできないケースのように見えても、実態は管理職が部下の失敗を恐れている状況が多いように感じる。部下の失敗をフォローする自信がない場合もあるし、フォローしたくないと思っている場合もある。
 無難にルーティンワークをこなしてくれればいい、と上司が思っていれば、部下は育たない。また上司にそう思われた部下は不幸である。運良く管理職になれたとしても、同じような管理職、つまり部下に何も任せられない管理職になってしまう。
 「多少の失敗は俺がなんとかする。失敗することを恐れるより、何にもチャレンジしないことを恥じろ!」と言える管理職になってもらいたい。

2.幹部候補生になる前にプロジェクトを経験する

 それではどんなことにチャレンジさせるのがよいのだろうか。一番効果的なのは、社内プロジェクト、しかも組織横断的なものが良い。タイミングとしては、組織のマネージャーになる前、リーダークラスのころが良い。業務にも精通し、ある程度社内のキーマンも知ってはいるが、ポストで人を動かした経験がないレベルである。
 組織横断的な全社プロジェクトの責任者になると、組織の壁を越えて人を動かさなくてはならないし、利害も調整しなければならなくなる。成果を出すためにはスケジュールに沿って、関係者全員を目標に向かわせながら足並みをそろえさせる必要がある。これはいい経験となる。私自身もプロジェクトの部門リーダーを経験しているが、今でも大きな財産になったと思っている。

3.「類友」でわかるポテンシャル

 プロジェクトを経験させていくと、社内の優秀な人間同士はしっかりとネットワークを築いていく。プロジェクト中のネットワークに留まらず、プロジェクト終了後もそのネットワークは広がっていく。全社員が多く集まる懇親会や研修会で、何気なく人の塊を観察していると、優秀な社員は優秀な社員同士で固まっていることが多い。様々な会社の忘年会や新年会に招かれることがあるが、じっくりと観察しているとそう感じる。

4.「やらせてみる」と意外とやれる

 心配性の上司も一度部下にチャンスをあげて欲しい。そして前述のセリフを述べて欲しい。「信頼されている、期待されている」と感じてそれに応えようとする部下、そしてそれを支える上司の関係が組織の中に生まれれば、失敗を恐れずチャレンジする部下が増えてくるようになるはずである。