【第13号】幹部は自分の責任で決断できるか

1.トップから何を委譲されているのか

 厳しい経済環境の中、苦しんでいる企業が増えてきている。様々な企業を見ていて感じることは、自分で決断できない幹部が多くなっているということである。現在、幹部となっている社員は、もちろんこの厳しい経済環境の中で結果を残してきた人もいるだろうが、多くはそれ以前の景気の良い時代に残した結果で幹部となっている人たちである。これまでのやり方が通用しなくなった分、彼らの決断力が失われつつある。
 思い出していただきたいのは、自分はトップから何を任され、期待されているのか、ということである。

2.自分の責任とは

 幹部はそれぞれ組織における重要なポジションにいて、任された役割の中で責任を負っている。そしてそれは組織としての責任であり、個人の責任だけではない。組織の中で果たすべき役割を理解していないケースが散見される。部分最適と全体最適のバランスが崩れてしまっているのである。自分さえ良ければいい、という態度では幹部失格である。
 幹部が果たすべき「自分の責任」とは、経営者から任された領域でその任を果たすと同時に、その領域と関連のある領域における業務とのバランスを見ながら、経営者と同じ視点でサポートしていくことである。責任の押し付け合いにより、意見を求められても言葉を濁したり、多数決に頼ったりしてはならない。会社全体から見たらどうなのか、という姿勢である。

3.人から学ぶ姿勢

 となりのセクションの幹部からの助言を恥ずかしがって聞かなかったり、求めなかったりしてはいけない。幹部には回りの意見を聞く「謙虚さ」が必要である。本当に自信のある人は他人からのアドバイスを受け入れることに躊躇しない。
 自分を成長させて行こうと考えれば、自分に無いものを受け入れることが必要になるはずである。
 どうしても立場が上になると、何でも一人でやりたがるものである。しかし、それでは組織は動かないし、スピードが遅れる一方である。

4.幹部の決断力

 幹部は必要な情報収集は、部下や自分のブレーンに任せ、決断の正確さとスピードに気を配ることである。先送りする体質は、自分にとってもプラスにならないし、会社にとっても同様である。仕事や情報を抱え込んで「おれがおれが」は、周りから見ていてあまり格好が良いものではないし、トップから見ても不安になる。自分の裁量で前向きに決断する習慣を付けてもらいたい。