【第6号】勝負できる「人間力」とは

1.人の“痛み”に気付ける

 気配りどころが、周囲の状況を読めない人たちが増えた。これは老若男女を問わない。出入り口で立ち止まって立ち話をする人、混んでいる電車で背中の荷物を下ろさない人、など周りの迷惑に気付かない。気配りについても同様である。これは私自身、常に振り返って本当にできていたか確認しなければならない難しい課題でもある。
 私はお客様から「どういう人がリーダーにふさわしいのでしょうか」という質問をよくされる。その際答えているのが「人の痛みに気付ける人です」ということである。大病をした人、持病を抱えている人、ハンディキャップを背負っている人が、人に優しく、そして人を惹きつける魅力を持った方が多いのはこの点ではないかと思っている。

2.全てを受け入れられる「包容力」

 魅力的な人は、起こったこと全てを受け入れられる包容力を持ち合わせていることが多い。突然な出来事も、悲しい出来事も、不運な出来事もあるがまま受け入れ、そしてそれに冷静に対応する。喜怒哀楽がないというのではない。不幸な出来事があっても、悲観するだけでなく、どうした次の一歩を踏み出せるか、そこを考えているかいないかである。
 人生全てハッピーな出来事ばかりではない。そんな当たり前の前提条件ですら、私たちは忘れがちである。

3.前向きで居られる「好奇心」

 いつも輝いていられる人は「好奇心」も旺盛である。年齢とともに衰えがちであるが、人間的に魅力のある人はそこが違う。年齢に関係なく様々なものに興味を持つ。それがその人の「器」を大きくし、オーラを作り出す。「教養」なる言葉が死語になりつつある今、単なる「知識」ではなく、そこに深い洞察を含む「教養」は最低限身に付けたいものである。
 「人間力」というものは、即席で得られるものではない。日々の積み重ねと長い年月から醸し出されてくるものである。10代の後半に私にこう教えてくれた国語の教師がいた。「人間、20代は親からもらった顔である。モテないのは親のせいだ。君たちのせいではない。しかし、30代を過ぎたら、そこからは個人の生き様が顔に出る。そこから先は、自己責任だ。モテたいのなら、今から自分の人生をしっかりと考えておくべきだな」と。
 今となっては大変感謝している。モテているかは別として、自分自身を常に振り返り、失敗を次に生かすことができているのも、この刺激的な教えがあってのことだと感じている。