【第205号】デフレと付加価値

1.本当にデフレ脱却?

 円安に伴う物価上昇が始まっている。これにより、消費者物価が押し上げられ、“統計上”はデフレが収まったように見える。
 しかし、「1円でも安く」の流れがなくなることはない。それがAmazonの売上支える力になっている。家電の価格も結局、通販の価格と横並びになってきた。店頭だから高い、は消費者にとっては何の価値もないからである。下請けや孫請け企業への値下げ圧力も弱まっていない。
 多少、お金の動きは良くなったようではあるが、デフレ脱却が、企業の収益を押し上げ、そして労働者の賃金に跳ね返るまでは、まだまだである。収益の改善が進んでいる大企業の収益の還元の優先順位は、労働者ではなく、まず株主だからである。

2.付加価値に気づいた消費者

 そんな中で、消費者の購買行動は変化してきている。価格だけでなく、価値も含めて判断するようになってきた(コストパフォーマンスの重視)。「安いまずい」だけでなく、「価格ほど美味しくない」「高いけど普通」という判断も増えてきているのである。更に、食品の偽装表示問題などもあり、単に「有名である」「みんなが使っている(サービスの提供を受けている)」だけでは、納得しなくなってきているのである。
 これは、他の製品とどこがちがうのか、これまでと何が違うのか、自分にどんなメリットがあるのか、をしっかりと見極め、支払う金額の見返りとしてふさわしいのか、納得したいと思っているからだ。
 納得すれば、高いものにもお金を出すが、安くて済むものには、お金をかけない。

3.価格競争から価値競争へ

 だからと言って、価格競争のど真ん中にいたら、消耗戦となり、体力を消耗するだけになる。現在の主力商品に新たな価値を付加することで、ライバルがいない「価格主導権」を握れる勝てる場をつくることができるか、がポイントとなる。あるいは、現在のマーケットにはない新規商材を見つけ、マーケットとのマッチングを図れるか。
 「安くしないと売れない」というのは、価格競争の中にいる証拠。「より便利になる」「より快適になる」「より楽になる」「より品質があがる」などの変化が認められなければ、価値が上がったことにならない。商品やサービスの向上だけでなく、それをどうPRしていくのか、納得してもらうのかも重要となる。
 価値というのは、相手の判断基準が重要になってくるから難しい。自分基準ではないからである。顧客目線の重要性は年々高まっている。