【第203号】組織で働くということ

1.変えられるのは自分

 組織で働くということは、様々な人間関係の中に身をおくことになる。常に全てがうまくいくとは限らない。上司との関係、部下との関係、同僚との関係、どこかでトラブルが発生する。ほとんどは、コミュニケーション上の問題からくるもので、誤解が生じたためにギクシャクする程度のものである。相性の問題からくるものもあるが、大人としての対応をしていれば、こじれることは少ない。
 トラブルになっても考えなければならないのは、相手の考え方や価値観を変えることは難しいということである。「相手がわかってくれない」「行動を変えてくれない」と主張しても、なかなか解決しない。自分で変えられるのは自分だけであり、自分がどのように変わればよいのか、が重要なのである。

2.役割の認識

 組織における役割を正しく認識しないと、良好な人間関係を築けない。自分が何を期待されているのか、それをどれだけ発揮できているのか、を理解していないと、なぜ周りから不満に思われているのか、あるいは評価されているのか、がわからない。
 難しいのは、組織における役割は、肩書きだけではわからない点である。部長がトップで、その下に課長が2名いる組織であっても、それぞれの役割は同じではない。どちらかが上位となっているように序列がついているケースもある。
 調整役となっているのか、牽引役となっているのかも大きく違う。これはトップの性格にもよる。同じようなキャラクターだと衝突するし、組織の性格自体もバランスを欠く。トップが協力な推進タイプであれば、№2はブレーキ役になるだろうし、トップが慎重派であれば、№2は積極派であるべきである。

3.摩擦はあって当たり前

 人間は感情の動物であるから、摩擦はあって当たり前である。なんでもかんでも順調に行くほうがおかしいのである。摩擦はある→トラブルになる→コミュニケーション(報連相)を意識して予防する、ことが重要になる。
 お客との関係における(社外に対する)気配りのエネルギーと、社内の人間関係に対する気配りのエネルギーは同じ配分になるようではダメである。社内にエネルギーを費やすような組織にしてはいけない。そのために、本音で話さざるを得ない会議やミーティングだけではなく、その裏にある期待や思いを知るための親睦会やレクリエーションなどが必要になる。
 相手への理解が不足していると、人間関係はうまくいかない。なかなか理解できなくても、「知ること」は必要。苦手だと思っている人のことを知ることから始めてみてはどうだろうか。