【第201号】人に優しくすること

1.「ありがとう」と言えているか

 職場の同僚との間、家族との間、あるいは見ず知らずの人などに親切にしてもらったときに、「ありがとう」と素直に言えている人は少ないのではないか。褒めることにスポットが集中している感じもある人間関係改善策であるが、この感謝の言葉も重要なキーワードである。
 お願いした仕事をやってもらった時、あるいは依頼していなくても気づいてやってもらった時。荷物を持っているときに、ドアを開けてもらった時、道を譲ってもらったとき、いろいろあるが、「ありがとう」と言えているか。
 世の中、殺伐とした状況になってくると、人の気持ちも同じようになる。職場が不活性化する、殺伐とする、という話しが珍しいことではなくなってきた。

2.支えられることは当たり前になる

 人は当たり前のことだが、一人では生きられない。支えられているものである。しかし、多くの場合は、それが目に見えなかったりする。取引先からの支援、同僚のサポート、家族からの愛情など。目に見えないものは、いずれ意識からなくなり、当たり前になってしまう(今の放射能に関する報道を見ればわかる。3.11の前なら日本中大騒ぎするような汚染レベルにも鈍感になっていて、“当たり前”になってしまっている)。
 当たり前になってしまうから、「ありがとう」と言えなくなる。部下がお客様から仕事を取ってくるのは当たり前、報連相をするのは当たり前、忙しい同僚の手伝いをするのは当たり前、父親が仕事をして生活費を稼ぐのは当たり前…。この当たり前が当たり前でない、としたらどうか。「ありがとう」を言うことで、かなり人間関係が変わってくる。相手の気持ちが変わってくる。

3.何もしなくても頼っている(傷つけている)

 人に頼りたくないと思っていても、すでに頼っているのである。気づいていないだけある。自分がはっきりと困ったと意識した時だけではないのである。であれば、うまく頼ることを意識して「ありがとう」を口にした方がいい。
 手に負えないと感じたとき、体調がすぐれず休みたいとき、答えが見つからず悩んだとき、は頼れる人がいるならば、頼るべきである。人に優しくすることを知っている人は、人から優しくされることもうまい。人から優しくされることがうれしいから、感動するから、更に優しさの大切さが理解できる。
 相手に感謝する気持ちを持っていると、人に優しくなれる。人間、完璧にはなれない。間違いや失敗を許すことができるかどうか。厳しく指導することも、接することも必要だが、それだけでは人は動かせない。