【第199号】自分を突き動かすもの

1.いろいろな世界を知ること

 様々な世界への扉は誰にでも開かれている。海外旅行という点でも、分野という点でも、あそこに行きたい、あんなことを知りたい、何でも目にすることができる、体験することができる。「好奇心ってないの」と筆者はよく中堅クラスの社員から若手の社員に研修などで質問することがある。「あまりありません」という回答が多い。どうも好奇心旺盛というと、ガツガツと何でも首を突っ込み、面白おかしく騒ぎ立てるようなイメージがあるのかもしれない。それでは、「あまりありません」という方が、TVを見ていないかというとしっかりと見ている。雑誌などを読んでいないか、というしっかり読んでいる。“何かを知りたい”という思いはもっているのである。
 経験を積み、それが自信に変わらないと行動力は上がらない。

2.違和感に慣れる

 知らない世界は当然、違和感がある。初めて経験するもの、初めて見るもの、全てそうである。その違和感を怖がっていてはダメである。誰もが初めて経験するものはうまくいかない。年を取ってくると、うまくいかないことの恥ずかしさが出てくる。そんなものは当たり前なのである。出来なくて当然。人間、そんなに器用ではないし、世の中もそんなに甘くない。失敗することへの恐怖から、自分を解放しなければならない。
 その恐怖、「どうせ、うまくいくわけない」「どうせやっても失敗する」だから、新しいことへ挑戦できない。以前もこのコラムで紹介した自分で作ってしまう“できない壁”である。その“できない壁”を取り除いてあげれば、行動力すなわち実行力も格段にあがる。

3.新しい世界に触れる楽しさ

 新しい世界に触れることは楽しい。人脈が広がる楽しさは出会った人の様々な自分ではできない体験を聞き、それに触れることができるところにある。その人たちが導いてくれる未知の分野は、人生を豊かにしてくれるエッセンスの塊である。海外へたびたび出かける方から聞く話し、異業種の方から聞く違う業界の話し、世代の違う方から聞く時代の流れ、違う地域の出身、故郷を持った方から聞く地域の文化や歴史など、何にも変えがたい体験になる。
 先日、ある会社の若手社員の話の中で、その会社は、社員をよく海外に派遣していたのだが、社員たちは、あまり派遣先の現地の食事をしていないということだった。これらももったいない状況である。食べ物は、その国の文化であり歴史である。口に合う、合わないもあるので、無理してまでとは言えないが、是非、触れてもらいたい部分である。