【第198号】部下を萎縮させるマネジメントとは

1.何をマネジメントするのか

 営業の質を上げるためにも、業績向上を図る上でも、管理職はマネジメントをしっかりとやっていかなかくてはならない。しかし、その意識が強すぎると様々な問題が発生する。
 『人間は弱いものであり、変化を嫌う』という原則を忘れてはならない。急激な変化や、過度の継続は大きな負荷を課すことになる。のんびりと対応する必要はないが、どうすれば負荷を感じさせないで、変化のスピードをあげられるのか、継続を図れるのか、を考えなければならない。
 何のために仕事をするのか、という目的を見失わずに、成果を上げていく必要がある。どんな行動をしたのか、ということも大切だが、その行動(対お客様)の質をどう上げていくか、が重要なのである。

2.部下のストレスを増やすか減らすか

 リーダーがどんなに頑張っても、部下が働いてくれなければ組織のパフォーマンスは上がらない。であれば、ガミガミと怒るよりも、どうしたらストレスを感じずに、楽しく、生き生きと働いてくれるかを考えるべきである。
 人間ストレスを溜めている状態では、能力を発揮できる状況とは言えない。上司は、部下がストレスを溜めない、減らす環境を整えてあげなければならないのに、上司自身が部下のストレスを増やす役割をしているような場面に遭遇する。前述のように人間は弱い(最近は更に弱くなっている気もするが)。だから、ミスをすると落ち込むし、スランプになる。上司が部下を叱るときは、傷口に塩を塗りこむようなことをしてはいけない。その傷口をふさぎながら、同じ傷を負わないよう、どうすればいいのかを考えさせなければならないのである。

3.報告の量、出社時間はバロメーター

 部下が今、リーダーとの距離をどう保っているか。それは、「報告の量」と「出社時間」や「退社時間」がバロメーターとなる。
 報告の量が、「落ちてきている」と感じるならば、部下との距離が離れてきている状況である。部下は上司が感じる以上に、上司を観察している。上司が不機嫌そうにしている時間が長くなると、報告しなくなる。「そんなのは、ビジネスではない」という理屈ではないのである。
 同じように、出社時間が遅くなる、退社時間が遅くなる、のも同様である。部下が上司といっしょにいる時間をコントロールするようになるのも問題が起き始めているシグナルである。
 部下の悩み、苦しみなどの不安を解決するために寄り添っているだろうか。もう一度振り返る時間を取るべきである。