【第192号】営業マンの課題

1.商品説明は上手いが・・・

 先日、タナベ経営主催の営業マネージャー対象のセミナーが終了した。最後は、ロールプレイングを実施したが、その中での気づいたことを幾つか整理してみたい。
 まずは、さすがに営業マネージャーもしくはマネージャー候補だけあって、商品説明は、どの参加者もよどみなく出来ている。導入・購入することのメリット・デメリットの説明から、仕様の説明、購入されたお客様の事例など、丁寧に説明が続く。会社案内やカタログを出すタイミングもお客様の興味をそそる瞬間を捉えている。この時代ならではなのが、ipadを使用した動画を生かした説明をする企業が出てきたことである。
 しかし、課題もある。まずは、表情が硬いし、相手の表情を観察できていない。自分の会社、商品の説明に一生懸命になり、反応まで気が回っていないのである。

2.足らない質問力

 もう一つ大きな課題がある。それは、質問力が弱いということである。発信力はあるが、受信機能が弱い。これでは、ニーズの把握が不十分になる恐れがある。
 ロールプレイングの時間は10分弱だったが、その時間のほとんどが会社説明、商品説明に費やされてしまい、相手の反応も確かめず、求めているものも確かめず、「いかがですか」で商談が終わる。これでは、お客様は、悪く言えば“押し売り”に感じてしまい、低い満足度で終わってしまう。
 質問がある程度できる場合でも、“単刀直入”な質問ばかりだと、取調べをされているような状況になり、これも顧客満足を下げる結果になってしまう。いつの間にか言わされてしまった(本人が気づいていない)、という状況にしなければならない。質問のバリエーションを増やしておく必要がある。

3.仮説力を高める

 そのためには、“仮説力”を高めて、そのストーリーに乗っ取って会話の中でさり気なく質問をしていく必要がある。
 仮説力は、日々鍛えていかないと使いものにならない。自分の会社の新商品で確かめるまでもなく、他社の商品でも新商品が出るたびに、情報を収集して、ヒットするか、しないかを仮説を立てておく。それが正しかったかどうかは、時間が(ヒットしたか、しなかったかという事実が)証明してくれる。
 筆者も常にそれを検証してきた。様々な商品の新商品のヒット予測をすることで、自分の仮説力に自信がつくようになってくる。
 仮説が営業ストーリーに展開されるようになれば、ステップも明確になる。商談が商品説明一色になることもない。