【第191号】付加価値の難しさ

1. 顧客のニーズを分析できるか

今年の流行語大賞を取りそうな言葉が、つまらない番組が増えたと言われていたテレビ業界から生まれそうである。「倍返し」と「じぇじぇじぇ」の2つは本当によく使われている。この2つの流行語を生んだドラマはなぜヒットしたのか。トレンディドラマがヒットした時代、そしてそのあとの特定俳優、特定女優が出演した際のヒットした理由とは違うものがある。共通しているのは、そのテンポの良さ、ありそうな(身近で起きてそうな)内容、主人公が貫く正義やポリシーなどがあるだろう。
それは商品やサービスにも言える。もうヒットは生まれない、残された新技術はない、と言われた分野において、本当にもうそのような商品は生まれないのだろうか。評価されるものは出てこないのだろうか。目の付け所を変えればまだまだ評価されるものはあるのではないか、とあきらめずに考えているかどうかである。

2. 何故それが評価されるのか

 評価されるものには、必ず理由がある。わかりやすい、同意できる、便利である、快適である・・・など。それを正しく把握していないと次につながらない。ただ、ヒットした、売れた、としか捉えていないとだめなのである。
 全部が正しく分析されていなくても、理解しようとするところからスタートである。今、時代は何を求めているのか、どんな便利さ、快適さ、気持ちよさを求めているのか。
 ある企業で商品開発しているが、そこでの議論のスタートはいかにユーザーの声を拾っていなかったか、集約していなかったか、であった。知っているようで知らない、共有しているようでしていないのである。流行語はそれを集約してくれたり、口コミで面白さが伝わる。しかし、会社の中での仕事の分野では、それをする仕組みがないとまとまらない。

3. 自分たちは何を見ているのか

 普段自分たちは目の前の何を見ているのか。当然、眺めているだけではだめである。目に映っているだけでは気づかない。凝視して、しっかりとその「真の姿」を見極めないといけない。
 表面的な一部分なのか、ほとんどの部分なのか。顕在化したニーズだけでは、画期的な商品を生み出すことはできない。流行語も時代を切り取るといわれている。様々な世相を映し出す鏡でもある。新商品も時代の要請にどのように応えるかが勝負となる。顧客ニーズだけでなく、時代の要請(市場全体の進む方向)も見極めなくてはならないのである。
 顧客や時代に“倍返し”され、“じぇじぇじぇ”にならないようにしなければならない。