1. 仕事の目的が理解できない
タナベ経営で主催している幹部候補生スクールというセミナーがあるが、そこに参加している各社の幹部の方と話している中で、「最近の若手は、“根拠なき自信”を持ち過ぎていて、謙虚に上司の指摘を受け入れていない」という意見が多いのに驚いた。
問題点を指摘しても「すみません」という言葉の前に、自分の仕事の中身の説明が始まる。目の前のレポートの内容が明らかに間違っていても、それを認めようとしない。PCの計算ミス、自分以外の人間の入力ミスにしようとする。仕事を任されて、その成果物の提出責任は自分にあるのに、他人に責任を振り向けてしまう。
多くの場合は、この仕事は何を目的にしているのか、を理解していないことから発生する。基本的には、説明しておかないと、彼らから聞いてくることはあまりない。「わかりました」というのは“作業”の内容がわかったということであり、目的まで含んだ“仕事”の内容が理解されたことにはなっていない。
2. 目的の手段化
つまり、「こういう資料を作成しておいて」というと、何らかの資料を“提出”することが目的となり、その資料が果たす目的を理解しないで業務を進めてしまう。だから、見る人のことを考えることができない。
期日を設けて仕事をするのは当たり前だが、その期日に間に合わすことが目的になる。結局は、2度手間、3度手間になり、期日に間に合わないことになる。
「何のためにやっているのか」という目的をしっかりと理解した上で仕事に取り組むことが基本である。それがどうしても「こなすこと」に気持ちが傾いてしまい、気づかないうちに、その目的を忘れてしまう。
提案書を作成させても同様である。お客様への提案書のピントがずれるのは、同じ理由からである。何でこの商品を買ってもらう必要があるのか、何が解決されるのか、それが抜けてしまうから、「購入してもらうこと」だけが目的になってしまう。
3. 満足水準の低下
さらに傾向として強いのは、仕事の満足水準が低下していることである。「もう少し頑張ろう」「もうちょっと工夫してみよう」という部分が薄れてきている。逆に「ここまででいいや」「こんなもんだろう」という“自分基準”で、止めてしまうことである。
上司から依頼された仕事の期待値を超えてやろう、という気持ちで仕事ができていない。結果、期待値並みどころか、期待値を大きく下回ることになる。
中途半端な仕事が続いていくと、上司だけでなく、周囲、お客様からの信頼も失ってしまう。その危機感に乏しいのも特徴。しっかりと理解させていって欲しい。