【第183号】目標とは

1. 達成できないもの?

 目標を持たずに仕事をすることは、ある意味辛いことでもある。自分の存在意義を確認できないばかりか、何をすれば評価されるのかが曖昧になっていることでもあるからだ。それでも、組織の目標は明確になっているが、個人の目標は不明瞭という場合がまだまだ存在する。「管理部門はそんなもの」ということで放置されているのである。これはこれで問題となる。
 しかし、一方で明確になっている目標も達成できない状況が続くと(未達状態)、達成できないもの、と感じられるようになり、できないことへの罪悪感がなくなっていく。
 「こんな目標、あってもなくても同じ」「また今月も届かない。景気も悪いし、仕方ないか」こんな状況になってしまっては、個人目標だけでなく、組織としての目標も達成できない。

2. 誰かが作ってくれるもの?

 目標の未達状況が続いている部門、組織、個人で散見されるものとして、目標作成のプロセスがトップダウン中心というものである。当人たちからすると「押し付けられたノルマ」と感じているのである。「やれ、と言われたから」なのである。
 これでは、なぜこの目標なのか、なぜこの数値なのか、なぜこのテーマなのか、について理解されない可能性がある。この「なぜ」が理解されていないと、人間は積極的に取り組もうとしない。
 ここでもうひとつ問題になるのが、じゃあ、自分で作ってみろ、と言われたところで、作り方がよくわからない、面倒くさい、ということで、結局人任せになってしまうことである。幹部研修などの場で、自分の目標設定をお願いすると、意外とうまく作れないことに驚くことがある。

3. 設定される意味

 目標はなぜ設定されるのか。それはゴールラインを明確にしないと、会社のマネジメントシステムがうまく機能しないからである。業績管理の仕組みにしても、人を評価するにしても、達成すべき基準があって、それに向かって努力する、工夫する、実践するから成果があがり、数字に表れ、評価されるのである。
 また、人間はゴールがないと頑張れない。「あとどのくらい頑張ればいいのか」というのは大事な指標である。
 管理部門にしても、日常のルーティンワークだけでなく、目標を設定する。数値に表しにくいのであれば、成果物を明確化するものでもよい。何かのマニュアル、手順書、業務フローなど作成すべきものは多い。
 ゴールまでたどり着いた達成感が次のステップに繋がるのである。