【第181号】飲みにけーしょん

1. 本音で語る重要さ

 人は中々本音で語れない。相手のことを考えて、遠慮してしまう。しかし、それでは、本当の意味でのコミュニケーションが成立しない。お互いが、本当に言いたいことを我慢していては、組織としても力を発揮することができなくなる。違う環境で育った社員同士が、コミュニケーション不全で理解しあえることなどありえない。
 そういうコミュニケーションの難しさを克服するのにうってつけだったのだが、いわゆる「飲みにケーション」だった。最近はあまり聞かなくなったが、以前は若手の社員が、建前と本音の議論を居酒屋などで戦わせることが多かった。これなど「飲みにケーション」の効果だろう。あるいは、素面で議論した内容の裏側にある“本音”を語りあう場面としても有効だった。

2. その人の人柄を知る

 仕事をしていく上で、同僚のこともお客様のこともその人自身を知っていることが、重要になってくることが多い。日本人は血液型の話が好きだが、それに限らず趣味だったり、出身地だったり、家族構成だったり、話が盛り上がるネタはいろいろある。
 その人の人柄を知ることが、「なぜあんな発言をしたんだろう」「なぜそんな行動をとったのだろう」などという疑問に答えてくれることになる。
 深く考えていないようで、深く考えていたことを知ることもある。悩んでいないように見えて、悩んでいたことを知ることもある。
 やはりその人のバックグラウンドを知ることが人間関係を深めるためには必要であり、それは自分をどうアピールしていくかにもつながることである。

3. 「素」の怖さ

 一方で、「酒の席」の怖さは、“素の姿”を見せることである。本当の姿とは、そういうものなのだが、プラス面がある反面マイナス効果を生むこともある。
 「いつもまじめそうに仕事をしていたが、実はだらしないヤツだったんだ」とか「おとなしい性格かな、と思っていたが、実はあんなことを裏で考えていたんだ」などと、悪いイメージを持たれることもある。お酒の席は無礼講になりがちであるが、節度ある態度が求められる。それは、本音で、本気で語り合う場だからこそ、必要なルールであり、守るべき事柄なのである。
 一旦、発した言葉は戻らない。相手を傷つける言葉は特に注意しなければならない。酒の席だからは、許されない。普段からの心構えも大事となる。
 酒の力はひとつの手段である。目的は、「本音で語り合う」こと。そういう場面を意識して作っていくことである。