【第180号】変えられる人と変えられない人

1. 記憶力と継続力

 何回注意されても、元に戻ってしまう人と自分を変えていける人の違いはどこにあるのだろうか。記憶力が悪い、というだけでは済まされない。成長がない、ということが致命的であることに気付いてもらわなくてはならない。
 変わらない人は、継続力がない。日報の書き方を注意しても、1週間で元に戻ってしまう。報告書をコピー&ペーストするので(そういう点での効率化はいいのだが)、何度も同じ間違いをする(間違ったものをコピーしてしまう点での注意力が散漫になっている)。複数のポイントに注意できない。そこが増加しないのである。自分の能力の限界をしっかりと把握していないので、忘れていくことへの対策がなされていない。
 学生の試験勉強対策以下である。社会人になったから、記憶力は使わなくてもいい、ということにはならない。

2. 習慣化

 誰でも記憶力の限界はある。だから“正しく忘れる”(忘れてもいい状態にする)ために、メモを取るのである。もうひとつ重要なのは、「習慣化」である。習慣化されれば、意識しなくてもできる、ということである。
 しかし、この習慣化するまでの期間を続けてやることができない。意識することに疲れて結局、元に戻ってしまう。上司はこの間、どれだけ我慢強く注意して指導してあげるかである。見えるところに書いておく、PCや携帯で定期的にメッセージが出るようにセットする、朝礼や終礼でお互いに確認する仕組みにしておく、など様々なチェック機能を利用する。
 習慣化してしまえば「変われる人」になる。反復、そして継続が重要となる。これは、個人任せにしてはだめである。仕組みとすることである。タナベ経営でいう「要となる基本動作」とはこのことを指す。

3. スピード

 そして、自分を変えられる人とそうでない人のもう一つの違いは「スピード」である。仕事をマスターするスピードもそうだが、まず着手するスピードが違う。そして、中間報告や返信など、ひとつひとつが早い。レスポンスがいいのである。自分を変えられない人は、このレスポンスが悪いので、全てのスピードが遅くなる。考えて、考えて、そして結論が出せないまま時間が過ぎていく。
 わかっているのか、いないのか、理解できているのか、いないのか、すら外から見ていてもわからない。本人も整理できていない。まず、レスポンスを早くすることを身体で覚えさせる。日々の報告をしっかりさせることからスタートである。