【第179号】必要な勇気

1. やったことがないことをする勇気

 経験したことがないものにチャンレジするのは勇気がいることである。しかし、そのチャンスを生かせるかどうかが、自分自身の成長に大きく関わってくる。「できません、やったことがありません」と言ってしまうことは誰でもできる。しかし、人間すべてやることには初めての時があるのである。学生時代の試験にしても、就職時の面接にしても、社会人になってからの様々な仕事にしても、すべてその「初めて」を経験してきている。
 難しそう、手がかかりそう、などというチャレンジしたあとの苦労を想像して、断ることが多い。最初からうまくやれる人などいない。みんな試行錯誤して、苦労して悩みながらクリアしていくものなのである。失敗しても、経験である。「やろう」と踏み出す勇気が、社会人としての成長をしていくうえで必要となる。

2. 仕事をお願いする勇気

 「自分でやった方が早い」「自分でやった方が楽」という理由で、なかなか人に仕事を頼まない人がいる。しかし、これも言い訳のケースが多く、本来はみんなで処理した方が早いし、その方が部下が育つ。
 人に頼むのは気が進まないのである。何だか文句を言われるのでは、押し付けられた思われるのでは、と躊躇してしまうのである。しかし、これも必要で重要な勇気である。まずその人を信頼していなければ仕事は頼めない。仕事の品質や期限までにできるかなど、心配することが多いのは普通である。その中で、チーム力を発揮していくために、誰にどのような仕事をお願いするのか、分担していくのか、ちゃんと考えなければならないのである。

3. 相手を認め、自分を認める勇気

 「あいつはまだまだだ」「自分はこれだけやっているんだ」ということではない。「彼はこれだけ頑張っている。こんなことも出来るんだ」「自分はこの部分が不足だ。もっと努力しなければ」ということを認める勇気である。
 つまり謙虚な姿勢ということになる。お互いの存在を尊重し、相手の能力を信じることになる。これも意識しないとできない。部下の悪いところは山のように見える。しかし、認める部分になると、途端に見えてこなくなる。普段、見ようとしていないからである。
 第三者の意見を聞くと、認めたくない部分も出てくる。「そんなはずはない」が部下についても、自分についても明らかになる。それをどう解釈するか。
 そういう見方もある、真実は別として、そう見られること自体、解消していかなければならない、と思えるかどうか。そこが成長、進歩の分かれ目となる。